鉄鋼価格の値上げが避けられなくなってきた。最大手の新日本製鐵や神戸製鋼所が、2008年度の国内の大口顧客向け主要鋼板を1~2割値上げする方針が表面化してきたのだ。

 実現すれば3年ぶりの本格的な値上げ。その背景には世界的な原料価格の大幅上昇に加えて、鋼材価格を国際価格よりも低めに抑えてきた国内事情がある。

 2007年は、世界的な鉄鋼の需給逼迫で副原料のマンガンやニッケルが3~5月に倍以上に値上がりしたが、鉄鉱石や原料炭など主原料は、年に1度の価格改定が慣例なため、2007年度分は2006年11月に決めた“旧価格”が適用されており、影響はまだ限定的だった。

 ところが、鉱山側はこの“タイムラグ”を挽回すべく2008年度分は大幅な値上げを目論んでいる。それを裏づけるように、交渉は2月に入っても決着がつかない長期戦に突入している。これは過去最大級の大幅値上げをめぐって、タフな交渉が続いているからだとの見方が強い。

 日本の鉄鋼業界の旗色は悪い。たとえば原料炭。日本企業は年間契約を結ぶが、価格の指標となるスポット市場では、水害によるオーストラリアの炭鉱の操業停止もあって、足元では初の1トン200ドルを突破、1年前の2倍の水準に達している。

 当初は2~3割の値上げでの決着を目指していたが、「主原料は5割以上の値上がりもありうる」(大手鉄鋼)と大幅値上げへの覚悟は固まりつつある。