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吉田恒のデータが語る為替の法則

5年ぶりの9月ドル高で「秋の大相場」か?
ドル/円反転の最初の大きな関門は79円!

吉田 恒
【第154回】 2011年10月5日
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 経験的に、秋の為替相場は一方向へ動きやすい傾向があります。そして、そのような秋相場は9月に前兆を示す傾向があります。

 その9月ですが、昨年までの4年間の米ドルは、対円で陰線引けとなっていました。米ドル安となり、それを受けたような形で、米ドルは秋相場に一段安となる値動きを繰り返してきました。

 ところが、「資料1」のように、今年9月の米ドル/円は小幅ではありますが、2006年以来5年ぶりに米ドル陽線引け、つまり、米ドル高となりました。

資料1

 

 これは、久しぶりに米ドル高・円安となる「秋の大相場」を示唆するものなのでしょうか? 今回は、そういったことについて考えてみたいと思います。

「絶望的悲観相場」は本当なのか?

 最近の金融市場における先行き不安拡大といった悲観論は、はたして、先進国の財政・金融政策の限界に伴う手の施しようのないものといった「絶望」的な話なのでしょうか?

 私はそうではなく、米国のデフォルト(債務不履行)を防ぐために行った財政政策の判断ミス、ECB(欧州中央銀行)などが行った金融政策の判断ミスが加速させたものだと見ています(「欧州危機に『ECB戦犯説』。そして、8月前半に突然世界が変わった理由とは?」を参照)。

 そして、その修正に動き出しているのだから、悲観論も修正される「希望」が見出せるのではないかと考えています。

 そうでなくても、「資料2」のように、悲観論を受けた米国金利の低下は、経験的に「異常」と言える動きになっています。

 9月分の米国景気指標発表のトップバッターとして、10月3日(月)にISM(全米供給管理協会)製造業景況指数が発表されましたが、この結果からは、最近の米国金利の低下はとても説明できません。

資料2

 

 注目されるのは、このISM指数と米国金利(実質長期金利=米10年債利回り-インフレ率)の最近におけるカイ離が、これまでになかったほど異常に大幅なものだということです。

 米国の景気からはとても説明できないほど、米国金利が異常に下がり過ぎている可能性が、このグラフからも感じられます。

「安全資産」売りは、円にも波及するのか?

 先ほど申し上げたように、あくまでも悲観論の拡大が「絶望」的なものではなく、政策判断ミスの結果だったものの、その軌道修正に動き始めているということならば、悲観論が確かに修正に向かう可能性はあると思っています。

 もし、悲観相場が修正に向かい、「安全資産」が上昇から下落へ転換を始めているなら、為替はどう動くのでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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