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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

「落ちてくるナイフは掴むな、落ちたナイフを拾え!」破綻会社スポンサーこそ、リスクの少ないM&A

永沢 徹 [弁護士]
【最終回】 2009年10月9日
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 一般的に「企業の破綻」と聞くと、信用が地に落ち、企業価値が無になってしまう悪い印象を抱きがちだ。それは、「法的整理は最後の手段」というイメージを持っていることも同様である。しかし、民事再生や会社更生などの法的破綻処理で企業価値が毀損して地に落ちてしまうというのは、大いなる誤解である。実際には、法的な破綻処理手続きによって再生への見通しがつくことから、法的破綻後の会社や事業は買収先として、「有望」といえる場合も少なくない。

 「破綻した会社=悪い会社」という印象になってしまうのには、いくつかの原因があるだろう。例えば、経営者が夜逃げして従業員の給料が支払えなくなることや仕入れが途絶えてしまうなどがあれば、事業継続は不可能になり、事業価値は殆どなくなってしまうということになるだろう。

 ところが、きちんとした法的処理によって再生をすれば、資金繰りがきちんと確保され、今後の方向性も定まり、事業継続が不可能な事態を避けることは十分可能だ。「破綻しそうだが、まだしていない」というように中途半端に生死の間をさまよっている状態の企業を買収するよりは、ずっとリスクが低く、メリットも多い。では、どのようなメリットがあるのだろうか。破綻した企業を買収するメリットを4つ説明しよう。

破綻会社買収によって得られる
意外なメリット

 まず、第1に、割安に事業を手に入れられる可能性が高い点だ。多くの企業は、法的破綻企業に対して、しり込みをしがちだ。しかし、「落ちてくるナイフは掴むな、落ちたナイフを拾え」に象徴されるように、実はリスクを見極めた上で企業価値や事業価値を判断し、買収できるため、破綻企業の方がリスクはよっぽど少ない。その一方、「落ちてくるナイフ」を掴もうとすると、怪我をするように、「破綻しそうな会社」を買収すると思わぬ痛手を被ることが多い。つまり、法的破綻会社については、実際はリスクが少ないにもかかわらず、皆がしり込みしがちであるから、割安なものが手に入る可能性が高くなるのだ。

 そして、第2にきちんとした経営責任が取られていることも利点といえる。法的処理をすることによって、経営責任のある経営者は退陣をし、株主の権利も基本的に白紙となる。既存の株主、経営者を温存すると、会社を再生する際の抵抗勢力を抱えることになるが、それらをきちんと排除すれば、企業の信頼性はより高まるのである。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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