アユートは「Astell&Kern AK70 MKII」を10月14日に発売する。価格はオープンプライス。アキハバラ e市場での直販価格は7万9980円。2016年6月発表の「AK70」の上位機種で、AK70はしばらく併売する。

AK70MKII

 また、PCレスでリッピングができる、USB接続の外付けCDドライブ「AK CD-RIPPER MKII」の投入も発表となった。今秋発売予定で、価格はオープンプライス。アキハバラ e市場での直販価格は5万4980円だ。

 内蔵CDドライブがHi-Fiグレードになったほか、重厚感のあるキューブ型デザインに変更。1260gとずっしり重く、制振性能も向上しているという。本体にはMicro-USBに加え、USB TypeCケーブルも付属する。AK70 MKIIはもちろん、AK240以降、最新のSP1000まですべての機種に対応するという。

AK70MKII
AK CD-RIPPER MKII
AK70MKII
キューブを組み合わせたようなデザインで、Aのロゴもワンポイントで使用

アンプを強化、そしてデュアルDACに

 AK70 MKIIのキャッチフレーズはAK70の“MUSIC FRIEND IN MY POCKET”に対して“YOUR NEXT PREMIUM”だ。この言葉が表すように、AKシリーズの高音質を手軽かつ身近に手に入れる点をコンセプトにしたAK70をベースとしつつも、より一層プレミアムな性能を提供する点に主眼を置いている。

AK70MKII
バランス駆動にも対応
AK70MKII
ボリュームは物理式のつまみで調節する

 第1の特徴はバランス駆動時の電圧(実効電圧)を4.0Vrmsと、直販価格49万9980円の超高級機「A&ultima SP1000」並みに強化した点だ。実際に内部を確認したわけではないのだが、アユートの担当者に聞くと、「アンプ部分の回路構成やオペアンプなど利用パーツはほぼ流用で、SP1000に限りなく近い」という。出力の大きさがまず目立つのだが、AK70に対してAK70 MKIIではS/N比(アンバラ:118dB/バランス:119dB)や歪み率THD+N(アンバラ/バランス:0.0005%)が大きく改善している。

AK70MKII
AK70 MKII、SP1000、AK70の出力・S/N比、歪み率

 第2の特徴は内蔵DACをデュアル構成にした点だ。シーラス・ロジックの「CS4398」を2基使用する。DAC構成は20万円超で売られていたAK240/AK120IIと同等だ。これだけで、同じ音質とは言いにくいのだが、左右のセパレーションなどに確実なメリットが出ると思う。

 PCM変換/ダウンコンバートになるが、再生可能フォーマットとしてはPCM384kHz/32bit、DSD5.6MHzまでをサポートする。ネイティブ再生では192kHz/24bitまで対応する。ここはAK70やAK120IIと同じだ。DSD11.2MHzの商業配信音源も一部出てきているが、既存の配信フォーマットはおおむね網羅できるだろう。

AK70MKII
デュアルDAC構成+バランス駆動に対応、左右独立の回路構成となる

筐体はわずかに大型化、しかし細かな配慮でそれを感じさせない

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AK70(左)、AK70 MKII(右)。縦の長さは同じだが、幅と厚みが気持ち増している

 回路規模が大きくなるため、消費電力も増えた。しかし内蔵バッテリーの容量を増やすことで、約10時間の連続再生時間(FLAC:96kHz/24bit時)を確保している。重量は18g、幅と厚さは2mm程度増加と、携帯性の面でもほとんど差がない。加えて、本体を持ちやすくするために、エッジ部分をカットしたり、側面の角度を調整したりしていて、手に持った際の違和感もなかった。

AK70MKII
AK70(右)と比較すると、AK70 MKII(左)を少しだけ厚さが増している。左上の角を少し落としていたり、液晶パネルの横にあるアールをなだらかにしたりで、持ちやすさを損なわないよう工夫している
AK70MKII
左側の角はすとんと落とされている

 AK70では、ベーシックモデルのターコイズブルーのミスティ・ミント(Misty Mint)を皮切りに、限定モデルを含めて7色ものカラバリが展開された。一方、AK70 MKIIでは当面、ブラックの筐体に濃いブルーのプレートを付けたノワール・ブラック(Noir Black)1色の展開となる。カラフルさやポップさというよりも、重厚感や上質感を意識しているのだろう。

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背面プレートのサイズ自体はほぼ同じのようだ
AK70MKII
AK70 MKIIとAK70のスペック比較

 本体サイズは幅62.8×奥行き15.2×高さ96.8mmで、重量は150g。内蔵64GBのストレージに加えて、256GBのmicroSDカードが利用できる。

ボリューム感がある低域の再現、ドライバーが軽々と動く

 気になる音質はどうか。最初に感じたのはSP1000以降、Astell&Kernの音の方向性が確実に進化(変化)したという点だ。

 まずは持ち込んだ無印の「Michelle」と組み合わせてみた。ボリューム感のある低域が、ダムの堰を切ったようにどっと流れ込んでくる感じで、ドライバーが非常に軽くスムーズに動く印象だ。特にバランス駆動でそれを強く感じた。豊かな低域に支えられた安定感を感じさせるサウンドだ。

 次にイヤフォンをDITAの「Dream」に替えて、より詳しく聴き比べてみた。

 AK70は中高域が鮮やかに聴こえるが、低域は引き締まっており、AK70 MKIIと比べ、量感は抑えめ。そのためか、比べると少し腰高に聴こえる。AK70 MKIIではさらに高域も伸びるため、よりワイドレンジの再生になった印象だ。AK70 MKIIは位置づけとしては第2世代のAKシリーズの延長線上にある。しかし説明の通り、その音はSP1000を意識した新しい方向性を目指していると実感できた。海外では駆動力のあるアンプで、ガツンとヘッドフォンを駆動するのが主流になりつつあるが、その傾向も積極的に取り入れているのではないか。

 興味を持ったのでSP1000(ステンレスモデル)とも比較してみた。もちろん明白な差があり、中高域の抜けがちょっと悪かったり、情報量の差があるためか音像が少し平板で、立体感やダイナミクスが物足りない。しかし、両者は30万円以上の価格差がある機種である。むしろこのサイズと価格で、ここまでスケールの大きな表現ができる点を賞賛すべきだろう。

 AK70MKIIには携帯性に優れる。SP1000は音質優先の設計のため、大きくて重い。屋外に気軽に持ち運べ、かつ少々鳴らしにくいヘッドフォンでも安定して駆動できる点はメリットになるだろう。買い替えや最初のハイレゾ機として購入するだけでなく、品質の高いサブ機を持ちたいというニーズにもアピールできるのではないか。

 筆者は最近SP1000を使い始めたが、小型で手軽であるためいまだにAK240を取り出して持ち運ぶことが多い。機会があればAK240との差もじっくりと聴き比べてみたい気がした。

小型だが多彩な機能と拡張性を持つ機種でもある

 最後にAK70 MKIIは、Astell&Kernのプレーヤーらしい高機能も特徴だ。

 Wi-Fi/Bluetooth接続に対応し、Wi-Fiを使ったストア機能(Groovers+の配信楽曲を本体のみで購入可能)や、AK Connect(DLNA接続して、NASに保存した音源などを再生)を持つ。Bluetooth接続時には24bit/48kHz対応のコーデック“aptX HD”の利用もできる。

AK70MKII
aptX HDに対応

 USB接続時には、USBデジタル入力(USB DAC機能)およびUSBデジタル出力の両方が利用できる。前者はパソコンやスマホで再生中のハイレゾ音源(最大96kHz/24bit)をデジタル信号のままAK70 MKIIに転送し、高音質なヘッドフォン再生ができるもの。後者はAK70 MKIIで再生中の音源をデジタル出力して、より高音質なUSB DACに再生できるものだ。

 AK Connectの機能を利用し、専用アプリからスマホでの操作も可能なので、置き場所の自由度が高いトランスポート機として据え置きシステムと組み合わせてみるのも面白いかもしれない。

 以上はSP1000以下、Astell&Kernのプレーヤー共通の機能ではあるが、1台だけで完結するのではなく、様々な機器と連携し、ネットワーク再生やスピーカー再生を楽しむためのハブになる拡張性の高さは見逃せない。

 なお、Astell&Kernは6月発表の第4世代機「A&ultima SP1000」以降、ラインアップを整理し、“Core Line”と呼ばれる中心機種では「A&○○」というセグメント名を付けるとしている。ただし、AK70/AK70 MKIIは“Casual Line”として、KANNの“Perfomance Line”同様、この枠から外れるとのこと。AK70 MKIIより、クラス的には少し上に置かれたA&○○の新機種にもまた興味津々だ。

AK70MKII
現行製品のラインアップ