[東京 21日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は21日、金融政策決定会合後の記者会見で、上場投資信託(ETF)の買い入れは金融緩和の一環であるとして、株式市場にくすぶる買い入れ縮小観測をけん制した。

もっとも「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)ほど重要でない」とも述べ、金融緩和は国債買い入れが主でETF買い入れは二次的との認識を示した。

来週にも安倍晋三首相が表明するとされる衆院解散・総選挙についてはコメントを控えた。

与党が選挙の争点に消費増税分の使途変更を掲げることで、財政健全化目標の達成時期も延期される見通し。この点について総裁は発言を控えつつ、「財政規律の問題は非常に重要」、「財政規律は金融政策にも影響が出るので関心を持ってみている」と述べた。

<片岡委員反対票、「異常なことでない」>

今回の会合では7月末に就任した新任の片岡剛士審議委員が、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%とするよう柔軟に国債の買い入れを進める現行の金融緩和は、2019年度に2%の物価目標を達成するには不十分との反対票を投じた。

黒田総裁は片岡委員の反対理由についてはコメントを控えたが、反対票が出ることは「各委員は独立の立場で会合に参画しており、異常なことではない」との認識を示した。

米連邦準備理事会(FRB)は20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で買い入れ資産の縮小開始と年内の利上げ見通しを公表し、市場では米金利の先高感とともに円安・株高も進行。同時に、欧米中銀が金融緩和からの出口に舵を切りつつあるなかで、日銀の緩和維持の姿勢が際立っている。

黒田総裁は、「日本は欧米と異なり、人々の物価観が物価目標の2%程度の水準に安定していない」として、緩和継続の必要性を改めて強調した。

日本固有の物価が上昇しにくい要因として「企業の省力化投資で、企業が賃金上昇を価格に転嫁するのを控える動き」も挙げた。

日本の物価の現状では諸外国並みに2%の物価目標を掲げることに無理があるとの批判は根強いが、総裁は2%目標は安倍政権発足直後の13年に政府・日銀が結んだ「共同声明にあり、目標変更や放棄は適切でない」、「共同声明自体は今でも有効」と説明した。

<北朝鮮情勢、企業や家計に大きな影響みられない>

日銀の巨額の国債買い入れの副作用については「客観的な指標によると市場機能はこのところ改善しているようにみえるが、市場参加者のアンケートでは市場機能低下が続いているとの見方がある」と説明した。

北朝鮮を巡る地政学リスクに関しては「市場や日本経済に与える影響を点検し必要な際は適切に対応する」と述べる一方、「これまでのところ金融市場は総じて落ち着いている」、「日本の企業や家計に大きな影響はみられない」と冷静な見方を示した。

*内容を追加しました。

(竹本能文、伊藤純夫)