[香港/シンガポール 20日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>がこのほど発表した新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」がさほど革新的ではなかったため、中国や韓国の競合勢には高額機種の市場で追撃するまたとない機会が訪れたとの見方が出ている。

新型アイフォーンが備える無線充電機能や大画面、デュアルカメラといった特徴は、既に中国の華為技術(ファーウェイ)、OPPO(オッポ、広東欧珀移動通信)、韓国サムスン電子<005930.KS>などの機種に幅広く採用されている。

アイフォーンの高額機種が1000ドル近くするのに対し、アジア勢はより安い価格で戦いを挑む。

中国メーカーはかつて、他社の技術を真似て安いスマホを次々と製造するイメージだったが、今では手頃な価格の高性能機種を作り出し、巧妙な販売促進戦略も駆使して忠実なアップルユーザーの一部まで奪うようになった。

中国メーカーの急成長は強い国内販売に支えられてきたが、CLSAによると現在はスマホの40%を輸出している。これはわずか3年前の2倍。

華為の欧州向けスマホ輸出は上期に50%超増加しており、もう少しでアップルから世界第2位のスマホメーカーの地位を奪う勢いだ。

華為は10月16日に発表する新型スマホ「Mate10」を「RealAIphone(リアルエーアイフォーン)」、つまり真の人口知能(AI)スマホと位置付けている。発表に先立ってフェイスブックに載せた短い動画では、ピエロを用いて新型アイフォーンの顔認証技術をおちょくるなど、自信たっぷりだ。

Mate10は即時翻訳や画像認証などAIを用いた機能を備え、報道によると大画面で、価格はアイフォーンより安い可能性がある。華為はコメントを控えた。

小米科技(シャオミ)やOPPO、vivo(ビボ、維沃移動通信)など他の中国メーカーも高機能スマホ市場に食い込もうと目を光らせている。

カウンターポイントの調査ディレクター、ニール・シャー氏は「中国ブランドは規模の拡大、共通のサプライチェーンへのアクセス、部品購買力の向上、積極的なマーケティングやお得感のある価格設定により、アップルの成長ペースに歯止めをかけ、アップルの差別化ポイントを無効にしてしまった」と語る。

<残る格差>

もっとも、高級機種の市場シェアではアップルが未だに中国勢に水を開けている。アップルのファンが「アイフォーン X」から「Mate10」に乗り換えると予想する専門家はほとんどいない。

調査会社IDCのアナリスト、シャオハン・タイ氏は「アップルは長年かけて高級ブランドのイメージを築き上げてきたし、それはサムスンも同じだ。少し余計に支払えばアップルやサムスンのスマホを買えるのなら、大半の消費者は今後もそうし続けるだろう」と語る。

UBSによると、600ドル以上の価格帯でアップルが63%のシェアを抑えているのに対し、華為はわずか3%。顧客定着率はアップルの82%前後に対して華為は52%で、同社は値上げが難しい環境となっている。

ただ専門家によると、顧客がスマホのハードウエアよりもアプリに強い関心を払うようになっているため、脅威は現実にある。

調査会社テックソーツの創設者、サミア・シン氏は「1000ドルのアイフォーンを持つことで、対話アプリのワッツアップや動画投稿のユーチューブ、写真共有のスナップチャットのUX(ユーザーエクスペリエンス=ユーザー体験)がどの程度変わるだろう」と言う。

シン氏は、アップル製品とグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」採用端末の両方で使える最も人気の高いアプリこそ、ユーザー体験に魅力を添えるものである以上、「端末の性能だけに基づいて高価格を正当化するのは難しくなっている」と続けた。

(Sijia Jiang記者 Jeremy Wagstaff記者)