形容詞を「素材」へ置き換えれば
文章はわかりやすくなる

私自身、できるだけ形容詞を使わないことを常に意識しています。形容詞を使って文章を書こうとすると、二重の意味で書くのを遅らせます。

伝わらないだけでなく、「思い浮かばない」ときがあるからです。

文章に苦手意識が生まれたり、書くときに時間がかかる大きな理由の1つは、形容詞を使って表現しようとするからです。言葉を生み出そう、思い出そうとするからです。

何か気の利いた言葉を見つけることができないか。うまく表現する形容詞を生み出そう、思い出そう。そんなことを考える。しかし、なかなか出てくるものではない。結果として、悩む。書けない、という印象を作る。書くスピードも当然、落ちる。

ところが、「形容詞を使わない」と決めた瞬間、必然的に素材に意識が向くようになります。
形容詞の「中身」を書かなくてはいけなくなるからです。

たとえば「すごく寒い」という状況を、この形容表現を使わずに伝えるためにはどうすればいいか。

「温度計は零下5度を指していた」
「手袋をしても、手がかじかむくらいだ」
「窓の外を見ると、軒下から伸びるツララが20センチほどの長さに延びていた」

これらはすべて、素材を並べて事実を描写しただけですが、「すごく寒い」と比べて、具体的な寒さがイメージできるのではないでしょうか。

あなたが書いた文章を見返して、もし形容詞の量が多かったら、形容詞を素材に変えてみてください。
繰り返しますが、素材とは、「独自の事実」「数字」「エピソード」です。

なお、文章を書くとき「具体的にどんな素材を集めるべきか」、「集めた素材をどう構成すればわかりやすい文章になるのか」という点については、『超スピード文章術』で独自のノウハウを紹介していますので、ぜひご覧になっていただき、使い倒してください。