だが、平均寿命は分かりやすいようで、誤解を招きやすいデータでもある。

 まず、平均寿命と一般に呼ばれているものは、寿命が伸びて行くことは一般には想定されない動植物に適用される「生命表」の概念であり、毎年の年齢別死亡率から仮想計算された「ゼロ歳時の平均余命(あと何年生きる可能性が高いか)」のことだということを理解しておく必要がある。

 2016年に生まれた男の子が実際に何歳まで生きるかは、今後の死亡率が低くなることが予想されることから、2016年の平均寿命である80歳よりは、当然長くなることが見込まれる。

 また、例えば65歳の男同士が、今後何年生きるかを話し合っているとき、平均寿命が80歳だから、あと15年かと考えるのは、もう一つの意味でも間違っている。というのは、65歳の平均余命は男の場合は19.55年であり、そういう意味からは、65歳の男の平均寿命は84歳だからである(表2)。65歳まで生き延びた人の平均寿命は、当然、ゼロ歳における平均寿命よりは長いのである。

 そこで、これ以降は加工データである「平均寿命」ではなく、生データである「死亡年齢」から、ヒトは何歳ぐらいで死ぬのかを考えてみよう。

死亡年齢のピークは
男83歳、女90歳

 図2は、死亡届を集計した人口動態統計(厚生労働省)から、年齢別死亡者数のデータをグラフにしたものである。

 2016年の死亡ピーク年齢は、男が83歳、女が90歳となっており、いずれも平均寿命より長くなっている。

 ちなみに、男女ともに68歳にもう一つのピークがあるのは、この年齢が団塊の世代のピークに当たっており、母数が多いので死亡者数も多いからである。なお、女性の場合は、その年齢では死亡率が男性に比べまだ高くないので、ピークはあまり目立っていない。

 過去からの5年毎の推移を見ると、ピーク年齢はどんどんと高くなっていることが明快である。