会社などの事業を
特定の人に承継させたい場合

 個人事業主や会社の経営者にとって、遺言を作成することが大きな意味を持つことがあります。

 その方々が会社の株式の大部分を持っている場合に、特定の子供にその事業を承継させるため、遺言が必要になることがあるからです。

 例えば、その子供が親の片腕となって経営にあたっている場合には、事業用財産や株式が法定相続によって分割されると、事業の継続が保てなくなりかねません。

 また、法定相続人の間で遺産分割をめぐって争いが起きることもあります。遺産を目の前にすると、会社の存続よりも個人の相続財産承継を優先することなどがよくあるからです。

 これらの相続争いを防ぐためには、事前の対策として遺言を作成し、事業承継などに支障のないように手を打っておくことが肝要です。

 相続の対象が現金・預貯金であれ、会社という活動する法人資産(株式など)であれ、遺産を受け取る側は人。そして遺産を遺す側も人なのです。

 両者は決して完璧な存在ではありません。その両者がお互い気持ちよくやり取りを行うために、遺言という一枚の紙の存在が大きな役割を果たすことは、なんとも不思議なものです。

 大切なのは、あなたの気持ちや感謝の心を遺言に吹き込むことだと感じています。