合格者数トップは西京 上位陣の顔ぶれが変わる

 トップの西京(京都市)は、京大に6人の合格者を出した。前年の1人から大躍進である。京都市立第一商業学校をルーツに持つ名門校だが、2003年に府内全域から応募可能な専門学科として未来社会創造学科エンタープライジング科を創設、04年には附属中学を設立して中高一貫校となった。

 エンタープライジング科の教育目標は、「コミュニケーション能力の開発」「経済センスの育成」「継続教育の追求」の3つで、英語教育やICT教育、海外でのフィールドワークなどに力を入れている。そうした教育の成果から、17年度では一般入試を含めると京大に34人の合格者を出すほどの進学校となった。

 2位は東大・京大合わせて4人の合格者を輩出した広尾学園(東京都港区)、天王寺(大阪市)、広島(広島市)。広尾学園は07年に共学化、国際教育に力を入れる学校として人気を集め、11年には「医進・サイエンスコース」を設置し、理系教育も強化している。京大特色の合格者2人のうちの1人は医学部で、理系教育の成果が現れているといえよう。

 天王寺は理数科で進学実績を伸ばしている府立高で、広島は04年開校の県立の中高一貫校だ。

「中高一貫校はグローバル教育や論理的思考の訓練、アクティブラーニングを取り入れた主体的に学ぶ態度の育成などに力を入れている。ペーパーテストの高学力層は、そういう面が苦手なので、推薦・特色入試では強みを発揮しているのではないか」と駿台教育研究所進学情報事業部部長の石原賢一氏は分析する。事実、3人の合格者を出している7校を見ても、県立長野(長野県)を除く6校は中高一貫校となっている。

 ちなみに、このランキングの前年度1位は、東大1人、京大3人の合格者を出した洛星(京都市)だったが、17年度は東大・京大各1人に減った。「学力以外で抜きんでた才能や実績を持つ学生が毎年、何人もいるわけではない」(安田氏)ということだろう。

 東大・京大合わせて3人以上の合格者を出したのは16年度が9校、17年度が11校。この中に2年続けて名を連ねているのは、東京学芸大学附属(東京都世田谷区)と洛北(京都市)の2校だけだ。「同じ学校に合格者が集中しないことで学生の多様性が広がる。その意味で、東大・京大としては狙い通りの結果ではないか」(石原氏)。

 16年度に合格者2人を出した20校のうち、札幌南(札幌市)、駒場東邦(東京都世田谷区)、膳所(滋賀県)、京都教育大学附属(京都市)、桐蔭(和歌山県)、沖縄尚学(沖縄県)の6校は、17年度は合格者ゼロだった。このことからも、合格者を出した学校長推薦の東大合格校でも顔ぶれが2年目にしてかなり入れ替わっていることが分かる。

 他の国立大の推薦・AO入試の動向はどうなっているのだろうか。