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岸博幸のクリエイティブ国富論

コンテンツは無料という非常識を拒絶する
マードックの対グーグル戦争は正しい

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第66回】 2009年11月27日
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 ニューズ・コーポレーション(ニューズ社)が壮大な実験に乗り出そうとしています。検索結果に同社の新聞のウェブサイトの記事を掲載しているのに対価を支払わないグーグルからのリンクを拒否し、マイクロソフトの検索サービス(ビング)だけに、対価を受け取った上で記事へのリンクを許諾しようとしているのです。マスメディアの報道には不正確なものが多いので、この動きの正しい意義を説明したいと思います。

来夏までに傘下新聞社の
ウェブサイトすべてを有料化

 これまでグーグルは、ほぼ全ての新聞社がウェブサイトにアップする最新のニュースを検索結果に表示していましたが、その際のやり方は、

● クローラー(日々ネット上を巡回して最新コンテンツを一時複製して検索結果に表示できるようにする、グーグルのロボットと考えて下さい)が新聞社のサイトから最新のニュースを引っ張って来る

● そうした行為は、米国著作権法のフェアユース規定(著作権者の許諾なく著作物を利用しても、その利用が4つの判断基準から公正な利用と認められれば、著作権侵害に当たらない)を根拠に、ニュースの権利者である新聞社の許諾なしに、対価も払わずに行う

● もしそうしたグーグルの行動がイヤならば、新聞社はクローラーの自社サイトへの訪問を拒むことができる(オプトアウトできる)

というものでした。

 要は、新聞社がウェブサイトで公開しているニュースは許諾も対価もなしに検索結果に掲載する、もしそれがイヤなら勝手にオプトアウトしろ、というスタンスだったのです。横柄ですよね。でも、各新聞社からすれば、グーグル経由でたくさんのユーザが自社のウェブサイトに来るので、これまであまり文句を言ってきませんでした。

 しかし、新聞社からすれば、自社のサイトの広告収入が全然少ない(米国平均で紙の広告収入の1/10)ことに加え、グーグルの収益は増えるのに記事を複製することへの対価を何も払わないこともあり、グーグルのやり方や、その結果としてネット上で広まっている “コンテンツは無料”という意識への不満が高まっていました。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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