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日本でも大きな話題になった、Amazonによるスーパーマーケットチェーン「Whole Foods Market」の買収。買収が完了したことで店頭でもAmazonのロゴ入りバナーが掲載されるようになりました

 筆者はバークレーで、久々に落ち着いた週末を過ごしました。9月12日の週はAppleイベントとレビューをこなしつつ、週末はワシントンDCで友人の結婚式に参加するという、息つく暇もない1週間を切り抜けていました。重なるときは重なるものですね。

 ワシントンDCとサンフランシスコの間のフライト時間は約5時間。時差も3時間あり、意外とこの微妙な時差ぼけがきつかったりします。日本だと思い切り時差があるので、飛行機の中の過ごし方、着いてからの過ごし方で上手く調整できるようになってきたのですが、3時間の時差というのが結構慣れないものです。

 そんなこんなで、バークレーでの1週間と週末を過ごして、さわやかな気候もあって、だいぶペースを取り戻すことができました。そうこうしているうちに、また今週はバークレーで30度ほどに気温が上がり、身近なところで山火事が発生したり、まあなかなか落ち着かないものですね。

 さて、毎年お知らせしているような気がしますが、今年もバークレーでマツタケが出回り始めました。1パウンド(約450g)で3300円ほどという値段ですが、状態はとても良いもの。

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カリフォルニアでも秋になると北米産の「MATSUTAKE」が並びます

 ここは何本か買って味見をしてみたいと思っていますが、例年秋の季節が進んでいくと、半額ぐらいまで値下がりします。そうなったとき、マツタケを「普通のキノコ」扱いしてやろうと思っています。

地元のお気に入りの八百屋もApple Payが使えるように

 毎年マツタケを狙うのは、かつて日系人が始めたというバークレー地元の八百屋、モントレーマーケットというお店です。確かに店には大きな家紋のようなマークがついていて、日本っぽさがあふれていますが、野菜や果物は地元カリフォルニアの新鮮なものを扱っています。しかも安い。

 品揃えの上での普通の地元のスーパーとの違いは、松茸を秋に売るかどうかぐらいなのですが、まとめ買いより毎日通いたい、米国にしては珍しい買い物のスタイルが定着するお店と言えます。

 最近になって、このモントレーマーケットもApple Payに対応しました。そのため、Apple Watchだけ身につけて、自宅から15分の距離を歩き、時計で買い物をして帰ってくる、というウォーキングのワークアウトにもちょうど良い距離になりました。

 Apple Watch Series 3はセルラー通信にも対応したため、途中で家人から「ネギ買ってきて」と追加注文が入っても、ちゃんと受けられますしね。セルラー対応したスマートウォッチの話は、また別の機会に触れたいと思います。

スーパー事情に異変を起こし始めたAmazon

 さて、今回はこのまま、スーパー事情についての話を続けたいと思います。

 テック業界とスーパー業界での今年の一大ニュースと言えば、AmazonによるWhole Foods Marketの買収です。ちょうど8月に買収が完了しましたが、そこからスーパーの顧客獲得競争に火がついたようで、非常に面白いタイミングにさしかかっているといえます。

 Amazonによる買収が完了したWhole Foods Marketでは、そのことを告知するバナーを各店舗に掲出しました。そして、今まであまりWhole Foods Marketの戦略にはなかったこと……値引き戦略がスタートしたのです。簡単な話、「Sale」という文字が店の中に躍り、大量の値引き札やまとめ買いによる値引きの札が店内を埋め尽くすようになったのです。

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これまであまり値下げなどをしてこなかったWhole Foods Marketでも「Sale」の文字が目立つようになりました。オンラインとの連携も含めて、既存チェーンにとっては大きな脅威になりそうです

 特に人気のある有機栽培の野菜や肉類、プライベートブランド「365」といった定番商品の値引き。普段からWhole Foods Marketを利用している人たちにとってはうれしい「節約」になりますし、Whole Foodsは好きだけど値段が高いからと敬遠していた人たちにとっても「ちょっといってみようかな」という動機付けには十分です。

 AmazonとWhole Foodsの事について、近い将来の展望に触れるなら、Amazon Prime会員はWhole Foodsでの特別なクーポンを手に入れることができたり、Amazonアカウントでのポイントサービスが利用できるようになったりします。これは、Amazon Prime会員をWhole Foodsへ呼び寄せる絶好のマーケティングツールになるでしょう。

 テック寄りの話で見れば、確かに、Amazon Freshの配送拠点としてWhole Foodsというファシリティと、プライベートブランドを含む商品を活用するという見方が強いのですが、実際に米国で普段買い物をしている身からすると、Prime会員のアカウントと店頭での買い物の連動の方がうれしい、という印象です。

Amazonがスーパーにやってきた結果の1つがバナナ!

 さて、AmazonとWhole Foodsがタッグを組んで、しかも“Whole Foodsなのに”値引きまで始めた。そうした様子に危機感を募らせているのが、他のスーパーチェーンです。

 サンフランシスコ近郊でビジネスを始めたSafewayは、全米第2位のスーパーチェーンで、小売チェーンとしても10位という規模を誇ります。筆者のアパートの目の前にも店舗があるのですが、AmazonがWhole Foodsでの値引き戦略を開始した直後、これに応戦するように値引きのちらしが入りました。

 特に張り合っているのが、バナナの値段です。

 Safewayではそれまで、通常品が1パウンド(約450g)で69セント、有機栽培品が1パウンド1.19ドルという値付けをしていました。ところがWhole Foodsの価格に合わせて、通常品が39セント、有機栽培品でも69セントと、大幅な値下げを行ったのです。

 米国のスーパーで最も身近なフルーツであるバナナの値段で、「値下げ戦略にもきちんとついていく」と言う意思表示をしているようで、バナナの偉大さをあらためて感じさせてくれるわけです。

 もちろん、バナナの値下げだけで張り合ってもらっても、あまりうれしいわけではないのですが。

 これはAmazonの記事を書くたびにお伝えする感覚なのですが、米国ではAmazonは、テック文脈とともに、流通や小売などの文脈で語られることが多いのです。しかも、通販主体の米国人の購買スタイルを後押しし、生活に欠かせない存在となっています。

 それゆえに、Amazonの話題は米国ではテック媒体以外でも大きく扱われ、多くの人が関心を寄せている、あるいは多くの人に関係がある話題とされているのです。

 今回のスーパーの値下げを見ると、Amazonがテック以外の領域での存在感をより高めていることを、よく表しているのではないでしょうか。