[東京 28日 ロイター] - 東芝<6502.T>の半導体子会社「東芝メモリ」の売却先が日米韓連合に決まったが、将来の出資検討を表明している産業革新機構に戸惑いの声が上がっている。東芝は出資までのつなぎとして、議決権行使を指図できる「指図権」を革新機構に付与する予定だが、革新機構内には、出資の約束につながりかねないと警戒感も出ている。

「日米韓連合」への譲渡額は2兆円。東芝が3505億円を再出資するほか、ベインが2120億円、HOYA<7741.T>が270億円、韓国の半導体大手SKハイニックス<000660.KS>が3950億円、米アップル<AAPL.O>など米国のIT企業が総額4155億円を拠出。このほか、三井住友銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行が6000億円を融資する。

東芝とHOYAで議決権の過半を確保する。アップルなど米企業は議決権を持たず、SKは転換社債を持つが今後10年間は15%超の議決権を保有することはない。

米ウエスタンデジタル(WD)<WDC.O>との訴訟が、「事業に重大な悪影響をおよぼす事象が発生した場合は契約しない」という「MAC条項」に抵触したため、革新機構と日本政策投資銀行はコンソーシアムから離脱した。

ただ、将来的には資本参加を検討する方針。それまでの間、東芝は保有する東芝メモリ株式の議決権行使を指図できる「指図権」を両社に付与する予定だ。

だが、ある革新機構幹部は「出資の是非は、訴訟問題が解決した後にあらためて企業価値を評価して検討する」と、出資が既定路線化することにクギを刺した。

関係者によると、18日から19日未明にかけて開かれた革新機構と政投銀、経済産業省、東芝の電話会議では、革新機構から指図権に対して疑問の声があがった。

また、12日に開催された臨時の産業革新委員会でも、指図権の説明を受けた委員からは「出資もしていないのに議決権を得るのはいかがなものか」と戸惑いの声が上がったという。

指図権は、何としてでも日本連合を作りたい経産省が編み出した苦肉の策で、両社を出資するまでつなぎとめておく役割を持つ。

これに対して、別の革新機構幹部は「われわれは国民のお金を預かっている。指図権と将来お金を入れるかどうかは別の話だ」と強調した。

(志田義寧 布施太郎 編集:田巻一彦)