佐藤智恵氏

佐藤 授業を教えるアンドルー・ゴードン教授は「光源氏は女子学生に人気がない」とおっしゃっていましたが、光源氏についてはどう思いましたか。

ジョン 光源氏は好きなキャラクターではないですが、強烈な印象を受けたのは事実です。女性好きで、次から次へと新しい女性とロマンチックな関係になろうとする、というのは現代の常識から考えれば異常な行為に見えますが、当時の皇族や貴族の男性にとっては普通のことだったのではないでしょうか。これは倫理に反する行為だ、とか、あなたは女たらしすぎる、などとは非難されなかったと思います。

佐藤 これまでの授業を振り返って、どんなテーマが印象に残っていますか。

ジョン 鎌倉時代、室町時代に象徴される武士の時代が圧倒的に面白かったです。江戸時代に入ると、武士は戦闘要員というよりも、政府の官僚のような役割を果たすようになりますが、将軍を中心とした政治構造や将軍と大名の関係性などについても、興味を持ちました。

 日本が明治維新以降、驚異的なスピードで近代化したことや、第二次世界大戦後、奇跡的な経済成長を遂げたことも、印象深かったです。授業では、「戦後の経済復興は、政府主導で行われ、政府が適度に民間に介入したことが功を奏した」と習いましたが、経済成長と政府の役割について学べたのはとてもためになりました。

 日本の急激な経済成長が、文化や社会にプラスの影響だけではなく、マイナスの影響をもたらしたことも初めて知りました。国も企業も、あまりにも成長を重視したがために、「人間疎外」(人間が機械の部品のように扱われて、人間らしさが無視されること)や「人間性の喪失」の問題が起きたことを学びました。

佐藤 「人間疎外」についてはいくつか課題図書があったそうですね。

ジョン 「銀の聖域」(清水一行著)や「ある銀行労働者の20年」(熊沢誠著)を読みました。