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全米に広がる格差是正デモの驚くべき組織力
ウォール街占拠を訴える人々をつなぐもの

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第166回】 2011年10月14日
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 参加者全員が集う総会は、毎日午後7時に開かれる。そこで、現場の運営(活動、食糧、衛生問題など)に関する告知が行われる。それ以外に、団結集会とか、家族参加日とか、オープンフォーラムなど種々の催しものが開かれている。これに加えて、飛び入りで、ヨガのグループがセッションを開いたり、政治家やセレブが現場を訪れてスピーチをしたりと、まるでお祭りのようにイベント続きである。

 参加者の間で委員会も作られている。直接行動委員会、食糧委員会、インターネットワーキンググループ、財務委員会、広報委員会、アートおよびカルチャー委員会、広報委員会などなど。それぞれのバックグラウンドを生かして、行動規範を作ったり、プレス対応をしたり、ポスターを制作したりしている。寄付された食糧を受け取り分配する係もいる。

 テクノロジーに強い人間がいるはずと先述したが、国際ハッカー集団のアノニマスも力を貸しているようだ。参加者にペッパースプレーを吹きかけた警官たちの名前をインターネットで公開して、彼らに抗議するようにネット上で呼びかけたりしている。リアルとバーチャルの両方で、OccupyWallStreetは組織化され、後方支援を受けているのだ。

 自然発生的に広がっていったOccupyWallStreetは、まるで新しい共和国のような様相を呈している。最初は失業者やホームレスたちの集まりと見られていたが、そのうち若者や学生も加わり、整然と組織化されていった。組織といっても、弱肉強食のウォール街の流儀とは正反対のもの。話し合いを通じて、合意形成を図り、それを実践していくというものだ。

 「アラブの春」で用いられた「非暴力的市民不服従」の考え方も生かされている。暴力を使って抗議したり、相手に襲いかかったりするのではなく、周到な計画に基づいてデモ行動を起こし、不服従を貫くというやり方だ。

 今やアメリカでは、ウォール街の金融業界は国民を苦しめる独裁者のような存在として一般社会にイメージ付けられてしまった感がある。中東・アフリカで始まった反体制運動が、まさかこのような形で自分たちに跳ね返ってこようとはウォール街の住人たちも予想だにしていなかったことだろう。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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