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AIが企業の意思決定をする日は来るのか
――アダム・セリプスキー タブローCEOに聞く

ダイヤモンドIT&ビジネス
【第71回】 2017年10月5日
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AIはBIを不要にする?

――AIは、はじめはBIの機能の一部だとしても、どんどん進化し、拡大していくと、最終的にはAI自体が企業の意思決定を行ってしまうということはありませんか。

 今後、AIが自動的に意思決定を行う部分が増えては来るでしょう。しかし、すべてをAIが決定するというのは、遠い未来の話で、それまでは人が決定を下す箇所は残ります。

 例えば在庫管理に関するアナリティクスにAIを組み入れれば、近い将来に在庫の決定はAIが自動的に行うようになるかもしれません。ですが医療のような人の生死にかかわるような領域では、自動的に判断することはできません。人とAIの組み合わせになると思います。

――シリコンバレーの自然言語に強いベンチャー企業を買収しました。タブローのBIのインターフェースは、現在のグラフ表示のような形から、音声で返事をするような形に変わっていくことも考えられますか。

 自然言語というのは、話し言葉という意味だけではありません。人間の思考に近い情報を理解できるかということで、インターフェースは音声でもテキストのタイピングでも、どちらでもいいのです。

 たとえば私が「当社で一番の営業マンはだれだ?」という質問をBIに与えた時に、従来のBIでは、「今年度か、昨年度か」「算定の期間は」「対象商材は」といった細かい条件を設定していかないと答えを引き出すのは困難でしょう。

 しかし、いま私がこの質問をしたのは、こういう条件の下で聞いているのだろうということを、あらかじめシステムが理解していれば、その条件を踏まえた答えが即座に得られます。こうした、人が会話の流れの中で聞くような漠然とした問いを、どうやって膨大なバックグラウンドのクエリー(ルール)に理解させるかということが難しいのです。人間の言語の理解とは、そういうことを指すのです。

 また、BIを使うのはデスクトップの環境だけではありません。BIの近未来というのは、リッチなビジュアルによるアナリティクスをさまざまなデバイスでリアルタイムに行うことができる世界です。

BIを既存の業務アプリと接続する

――タブローは今後どう進化するのでしょうか。

 いま、多くの企業の経営者のかたとお会いして話すテーマに、タブローをクラウド上で使いたいという要望があります。すでにクラウドにも対応していますが、従来のオンプレミス(自社サーバ)でもどちらでも同じ機能を使えるようにして、顧客に様々な選択肢を提供できるようにすることが直近のミッションです。その取り組みの1つとして、B2Bのミッションクリティカルなプラットフォームとも直接接続して、タブローのBIで意思決定者の支援をしていきたいと考えています。

 もう1つは、タブローを企業全体の分析基盤として使おうという動きがあります。数千、数万のアカウントが一気に増えることになります。日本ではすでにNTTドコモ、ヤフージャパンなどで採用しています。こうした傾向は、大企業がアナリティクスプラットフォームを必要としているということの表れです。将来、社員がデータを軸にどう意思決定をしていくのか、これは技術の採用だけではだめで、企業文化をデータ重視に変えていく挑戦になります。

(聞き手/ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス 指田昌夫)

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