[ロンドン 27日 ロイター] - 7─9月の起債市場では、タジキスタン、イラクなどを含む新興国のドル建て債の発行が相次いだ。アジア勢の社債発行額も膨らんでおり、今年の起債額は、記録的な水準に達する見通しだ。

途上国経済が拡大するなか、債券ファンドには大量の資金が流入。資産運用会社の間で、高利回り債の需要が増している。

ソシエテ・ジェネラルのソブリン債アナリスト、レジス・チャテリアー氏は「新興国の発行体にとっては、ゴルディロックス(適温)のシナリオだ」と指摘。「多くの国は、明日のことはわからないので、今のうちに起債しておきたいはずだ」と述べた。

トムソン・ロイターのデータによると、7─9月の起債額は今月20日時点で1083億ドル前後。サウジアラビアは、今月27日に125億ドルの起債に踏み切っている。

年初来の起債額は4719億ドル。前年1─9月は3707億ドルだった。

今年7─9月の新興国のソブリン債発行は177億ドル。アフリカ、中東、中央アジアが全体の40%を占めた。

JPモルガンのアナリストによると、新興国の今年の起債額は1425億ドルと、記録的な高水準に達する見通しだ。

<タジキスタン、イラクなどが起債>

7─9月の起債で特に目を引いたのは、タジキスタンの初の起債。発行額は5億ドルだったが、40億ドルを超える応募額があった。

イラクも約10年ぶりに10億ドルの債券を発行。ウクライナも2015年の債務再編以来初となる30億ドルの起債に踏み切った。

ガボンも2015年以来初の起債を実施。セネガル、コートジボワールも債券を発行している。

レジス・チャテリアー氏は「市場はどんな発行体でも喜んで資金を出している」と指摘する。

多くの起債には、資産運用会社から多額の応募がある。EPFRグローバルのデータによると、新興国債券ファンドには、年初から646億ドルの資金が流入。うちハードカレンシー建ての資金は356億ドルだ。

前年同期の流入額は366億ドル、ハードカレンシー建ては221億ドルだった。

<中国の社債発行も膨らむ>

新興国の社債発行も、7─9月は920億ドルに達している。年初来の起債額は3425億ドル。44%はアジア企業、中国企業だけで27%を占めている。

中国石油化工(シノペック)は今月、4本建てで32億5000万ドルを起債。4月にも34億ドルを調達した。

ソシエテ・ジェネラルの債券リサーチ共同ヘッド、ガイ・ステア氏は「中国以外の新興国企業は、ドル建て市場への依存度を上げようとはしていないが、中国勢が喜んで割って入っている」と述べた。

JPモルガンは、今年の社債発行額の予想を3800億ドルから4400億ドルに上方修正している。

UBSのCEEMEA債券資本市場担当トップ、ランコ・ミリック氏は、企業の借り入れ意欲は強いと指摘。「ドルの基準金利はゆっくりと上昇しているが、まだ非常に低い。発行体にとってはまだまだ魅力的だ」と述べた。

同氏によると、投資家に名前の知られている企業は、発行条件がタイト。ロシアの鉄鋼メーカーNLMKや、カザフスタンのガス輸送のカズトランスガスは、調達金利がともに4%前後。

タジキスタン、ウクライナの起債は7%台前半だった。