Photo:首相官邸

9月25日、安倍総理大臣は記者会見を開き、28日の臨時国会冒頭で「衆議院を解散する決心をした」と発表、臨時国会最初の本会議が開会して5分と経たないうちに衆議院は予定どおり解散された。巷では大義なき解散だ、解散権の濫用だ、しかも臨時会冒頭で所信表明も、それへの代表質問もしないとは、「森友・加計問題」での追求を恐れて逃げを打ったのだといった批判の声が鳴り止まない。果たして、本当の解散の理由は何か。(室伏政策研究室代表・政策コンサルタント 室伏謙一)

完全に失速していた
安倍政権

 今回の解散では、最大野党の民進党が離党ドミノや執行部人事をめぐる不手際で凋落傾向にあり、「体制を整えられないうちに総選挙をやってしまおう」という考えが背景にあると説明されることが多い。確かにそれが理由の一つとしてはあるようだが、どうやらそれが一番の理由ではないらしい。その点では、希望の党の結党は一つの誤算ではあるかもしれない。

 衆院議員の任期は、平成30年12月で満了を迎える。残すところあと1年2ヵ月程度だ。これまで衆院解散総選挙の話は出ては消え、また出ては消えしてきた。最近では臨時会冒頭、臨時会会期末、年明け常会開会冒頭…とさまざまな時期が想定され、10月22日の衆院補選に合わせて選挙を行うという話もあった。

 閣僚の不祥事や不規則発言、不誠実な国会対応に加えて、森友・加計問題を巡る安倍総理の不十分な説明によって内閣支持率は急降下した。8月頭の内閣改造を経ても支持率は大幅に改善することはなく、安倍政権は完全に失速した状態にあった。

 また、安倍政権の政策に否定的な動きが雨後の筍のように始まっている。反アベノミクス勉強会とも脱アベノミクス勉強会とも言われる「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」や、謙虚な姿勢で党に対する厳しい意見を聞くことをアピールしている「日本の明日を創る会」などだ。これらに象徴されるように、足元の自民党ではこれまで抑えられてきた不満が一気に噴出して収拾がつかない状況が続いてきた。事実、番記者や議員秘書らも口を揃えてそう言っていた。