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吉田恒のデータが語る為替の法則

ドル/円「脱・こう着相場」のXデーはいつ?
豪ドル/円は80円まで反発するシナリオも

吉田 恒
【第157回】 2011年10月17日
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 一時急落していたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)ですが、ここに来て反発に転じています。

 日本の個人投資家に人気の豪ドルも、対円での昨年来安値更新を回避すると、今週は一時77円近くまで反発しました。

 これからどのようになるのか、そして、こう着相場が続く米ドル/円がいつ動き出すかについて、今回は考えてみたいと思います。

「MTA」で考えると、豪ドルは80円まで反発する見通しに

 まずはクロス円について、相場の行き過ぎを参考にして予想する「マーケット・アラート(MTA)」を使って考えてみたいと思います。

 「MTA」からすると、今回の豪ドルの反発は下がり過ぎの修正ということになります。

 豪ドルは、昨年来安値の72円割れ目前まで一時は急落しましたが、その中で「資料1」のように、90日移動平均線からのカイ離率はマイナス10%以上に拡大しました。

 これは、2007年以降で3回しかなかったことですから、経験的には、豪ドルの下がり過ぎ懸念はかなり強くなっていたと言えるでしょう。

資料1

 ところで、この2007年以降で90日移動平均線からのカイ離率がマイナス10%以上に拡大した3回の局面で、その動きが一巡した後はいずれも、豪ドル/円は90日移動平均線の回復へと向かっていました。

 それは最短で1ヵ月程度、最長では5ヵ月を要しましたが、3回とも90日移動平均線を回復したのです。

 このように、短期的に下がり過ぎとなった動きが一巡した後には「振り子の原理」が働きます。これまでもこのコラムでご紹介してきたように、90日移動平均線の回復まで戻すというのが基本でした。

 さて、足元では豪ドル/円の90日移動平均線は82円レベルにあります。

 今後、この90日移動平均線は少しずつ下落してくることが予想されますが、下がり過ぎの修正で、これを回復するまで豪ドルが反発するならば、少なくとも80円を超えて豪ドルの上昇は続くという見通しになります。

豪ドル/円は短期的に反発しても、中長期では下落方向か

 このように「MTA」で見ると、豪ドルの反発はまだ続くという見通しになりますが、一方で、80円を大きく超えて、今回の急落が始まる前の85円以上の水準まで戻るかと言えば、「MTA」的にはちょっと微妙のようです。

 「MTA」の中の90日移動平均線からのカイ離率を分析した上で、私が「3大ルール」としている中に、「短期の行き過ぎは中長期トレンドと逆行しない」といったことがあります。「資料2」をご覧ください。

 それを前提とするならば、今回、豪ドルの90日移動平均線からのカイ離率がマイナス10%以上に拡大し、短期的に下がり過ぎとなったことは、豪ドルの中長期のトレンドも下落方向にあることが確認された可能性が高いのです。


資料2


 そうであれば、今回の豪ドルの反発は、あくまで下がり過ぎの修正に過ぎず、どんどん上がっていくということではないと思われます。

 「MTA」の中には、購買力平価のような適正水準からの行き過ぎを点検し、予想に活用する考え方もあります。購買力平価との関係で見ると、豪ドルは対円より対米ドルでの割高懸念が強いことがわかります。

 その意味では「米ドル安・豪ドル高」の行き過ぎの修正で、「米ドル高・豪ドル安」となることで、結果的に、豪ドルの対円での反発も自ずと限界があるというのが「MTA」から想定される「豪ドルの近未来」となりそうです。

 はたして、どうでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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