[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米株式市場では、バランスシートが堅固で利益が安定している「ハイクオリティー銘柄」が振るわない一方で、売上高伸び率の高い成長銘柄が大きなリターンを上げている。企業利益の見通しを見抜く優れた「選球眼」を持つ投資家が、不当にも苦境に立たされている格好だ。

ゴールドマン・サックスによると、「ハイクオリティー銘柄」の年初来のリターンはわずか12%と、S&P総合500種の13.8%を下回った。これに対して売上高伸び率の高い成長銘柄のリターンは20%に達しており、投資家からの資金流入が止まらない。

ハイクオリティー銘柄の不振に白旗を上げる著名ファンドマネジャーも出てきた。ホイットニー・ティルソン氏は先に、自身のヘッジファンド「ケース・キャピタル・マネジメント」の閉鎖を発表した。

ティルソン氏は投資家に宛てた文書で「これまでクオリティーが高くて納得できる価格の銘柄と、クオリティーが低くて価格の安い銘柄に投資してきた」と、これまでの投資戦略を振り返った。

その上で、株価が値上がりして市場参加者の間で「慢心」がはびこったため、クオリティーの高い銘柄からは値ごろ感が消える一方、割安な銘柄は安心できなくなり、ファンドの閉鎖を決断したと説明した。

米株式市場で好調さが際立っている成長株が、フェイスブック<FB.O>、アマゾン・ドット・コム<AMZN.O>、ネットフリックス<NFLX.O>、グーグルの親会社アルファベット<GOOGL.O>のいわゆるFANG株。このほかバイオ医薬品のセルジーン<CELG.O>やデータセンター運営のエクイニクス<EQIX.O>など、知名度の低い小型株も値上がり幅が大きい。

こうした銘柄はいずれも売上高が大きく伸びているが、一方で粗が目立ち、クオリティー銘柄とは位置づけられない。

例えばネットフリックスはキャッシュフローが12四半期連続でマイナス。同社は、SFホラードラマ「ストレンジャー・シングス」のようなオリジナル作品に投資を行うため、キャッシュフローがプラスに転じるのは数年先になると警告している。ただ、同社の視聴者数は予想を上回る伸びを示し、株価は年初来で45%以上も上昇している。

もっとも、金融緩和策や低金利が終焉を迎えれば、慢心に浸っていた市場は大きく揺れるとみる市場関係者もいる。

ペーサー・ファイナンシャルのディレクター、ショーン・オハラ氏は「企業価値がないがしろにされている今の市場環境ではアンダーパフォームするかもしれないが、時がたてば報われる」と、ハイクオリティー銘柄への投資に前向きだ。

ペーサー・ファイナンシャルはハイクオリティー銘柄が復活するとみており、稼ぎ頭の上場投資信託(ETF)はキャッシュフローが潤沢でバランスシートがしっかりした銘柄に買いを入れている。

(Trevor Hunnicutt記者)