――プラスチック製品の一種が消えてなくなるというのは、どういうことですか。掘削現場で、PGA樹脂製品はどのような使われ方をするのですか。

 できるだけ、平易にご説明します。地下2000~3000メートルにある頁岩(シェール)層の隙間に閉じ込められているシェールオイル・ガスを取り出すには、「水圧破砕法」(超高圧の水を注入して亀裂を生じさせる方法)を用います。

 頁岩層では、縦方向ではなく、横方向に穴を掘り進めます。私たちの製品であるPGAプラグやボールは、水平に掘り進められた抗道(水の通り道)を“仕切るための道具”です。掘削作業は、水の流れをコントロールしながら進めます。抗道のいちばん奥から、100メートル間隔で水圧破砕を繰り返すことによって、効率的に資源を取り出します。その際に、なくてはならない仕切り役を担っています。

1994年、クレハは、世界で初めてPGA(ポリグリコール酸)樹脂の量産技術を開発した。地下2000~3000メートルで、抗道(水の通り道)で使うPGAプラグやボールは、二酸化炭素と水に分解されるため、既存の金属製品のように回収する必要がない
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 これまで仕切るために使う道具は金属製のものが主流でしたが、作業が終わった後で地中から回収する必要がありました。その点、私たちの製品は、回収要らずで、部材を含めてプラグやボールは溶けてしまいます。掘削時における全体のコストを低減させたり、工期を大幅に短縮させたりできるのです。

 こうした大きな利点があることから、私たちのPGA製品は米テキサス州内に集中するシェールオイル・ガスの掘削現場で導入が試されるようになりました。その流れを見越して、2012年には米ウエストバージニア州で専用工場を立ち上げて商業生産に踏み切りました。今や、世界唯一の年産4000トンの生産能力を持っています。

 しかし、現時点では、新しい素材と製品であることからシェアは4~5%の水準にすぎません。今後も関係者に働きかけ、20年までにはシェアを20%にしたい。そして最終的には、私たちのPGA製品で、全て置き換えたいと考えている。