企業向けITは「自動運転」の時代が来るのか会場のモスコーニ・センターは改修中だが、OOW開催に間に合わせて一部区画が新装オープンした

クラウドアプリを
本格的に売り込む段階に

 21回目を数えるオラクルの年次イベント「Oracle Open World (オラクル・オープン・ワールド) 2017」(以下・OOW)が、米国サンフランシスコ市内で10月1日から4日まで開催された。

 期間中は今年も、会場の容量の上限とも言われる約6万人(うち北米以外から3割)が詰めかけ、オンライン視聴者数は43万人に上るという大規模なITの祭典である。日本からも400名以上が参加した。

 企業向け情報システム(IT)大手のオラクルは、ソフトウェア、ハードウェアの両方を提供するユニークな企業だ。目下の大きな課題は、クラウドビジネスへの移行である。2016年度は、総売上377億ドルのうち約15%の56億ドルをクラウド事業が担う。少ないように見えるがクラウドの比率は3年前と比べて3倍近くに増えている。日本円で売上が4兆円という大企業が、全体の売上を維持しながら収益構造を変革するという難題に取り組んでおり、そのかじ取りは今のところ順調と言えそうだ。株価も堅調に推移しており、2000年のITバブル後の高値を更新し50ドルの大台に迫っている。

企業向けITは「自動運転」の時代が来るのか展示会場ではERP、EPMなどの業務アプリケーションの詳細展示にも力を入れていた

 現在オラクルが力を入れているのは、クラウド型業務アプリケーションの拡販だ。昨年までに主要な業務分野でのクラウド製品のリリースはほぼ終え、今年は機能追加や他社のインフラ、外部のアプリやデータとの接続に関する発表など、付加価値の強化が中心だった。なかでも基幹業務システムのERP、EPM(統合業績管理システム)などのアプリケーションにAI機能を組み込んで、取引先企業との処理を自動化したり、最適な取引先を選別する機能などの付加価値をアピールする発表が続いた。

 そうした足元のクラウドシフトを具体化する講演や展示とは別に、テクノロジー企業としてのビジョンの一端が、基調講演で披露された。