ラスベガスで銃による悲惨な事件が発生しました。

 「ルート91 ハーベスト」というカントリーミュージックのフェスティバルの会場での無差別銃撃は、この原稿を書いている西海岸標準時10月2日午後の段階で死者数58名以上、負傷者515名以上。この数字は、米国史上最悪の事件となってしまいました。

 ラスベガスは、毎年1月に開催される世界最大の家電展示会CESをはじめとするさまざまなカンファレンスが開催される場所で、筆者も今年、すでに2回ラスベガスに取材に行っており、今月も行く予定になっている、なじみのある場所です。

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日本のIT系メディアの人たちにとってラスベガスは、1月に開催されるCESを始め、大規模カンファレンスが開催される場所というイメージです

 野外フェスの会場に向けて、ホテルの32階から銃撃が行なわれたとされており、完全に無差別銃撃であることがわかります。国際テロ組織との関与は今のところ指摘されていません。

 犠牲者の方々とそのご家族の方々には、哀悼の意を表します。

 前述のとおりに米国史上最悪の事件でしたが、米国で暮らしている以上、銃の脅威を意識しない日はありません。身近に銃が存在していることが前提の社会だからです。

トランプ政権では進まないであろう銃規制の議論

 銃による大量の犠牲者を出す事件は後を絶ちません。2015年にはカリフォルニア州サンバーナーディノで福祉施設が襲われ14人が犠牲になりました。このとき、容疑者のiPhoneのロック解除を巡ってAppleとFBIが争ったことは記憶に新しいです。

 また2016年にはフロリダのナイトクラブで49人が犠牲となりました。今回のラスベガスの事件は、フロリダの事件をさらに上回る犠牲者を出してしまいました。

 2016年の事件を受けて、オバマ政権下で銃規制の強化を試みましたが、共和党の反対で見送られており、トランプ政権も全米ライフル協会の後ろ盾があることから、銃規制については絶望的、というのが実際のところです。

 米国には「合衆国憲法修正第2条」というものが存在しており、市民の武装をの権利を認めています。そのため、自衛のために銃を持つ人が多く、猟や射撃などの趣味を持っている人も多いのです。

治安がいいバークレーでも銃絡みの事件はある

 筆者が住んでいるカリフォルニア州バークレーの北のエリアは比較的治安がいいエリアです。しかし身近での銃絡みの事件は、日常的に発生しています。

 米国の警察のデータ公開によって、犯罪が発生した箇所がマッピングされているのですが、地図上でも銃のマークを見つけることができます。直近で、身近に、そうした事件が発生しているのです。

 ちなみに、地図をスクロールしていくと、アイコンがぱったりと途絶える地域が広がるのがわかります。たとえば、バークレーの北のエリアに当たるアルバニーやケンジントンのエリアは、直近の犯罪レポートがないということです。

 こうしたエリアは、治安のよい人気の住宅地で、地価も高止まり、と言うわけです。安全な地域に住むには、より高い家賃を出すというのも、アメリカの住居選びの1つの方向性なのです。

Twitterは身を守るツールとして認知

 無差別テロ事件と違って、日常的な銃の事件に巻き込まれないよう行動に気をつけることはできます。それが当たり前になっているので、特別不自由を感じることもないのです。

 こうした事件が発生すると、米国の都市ではたいてい、まずヘリコプターが飛びます。報道の中継であることが多いのですが、街中の上空でヘリコプターがホバリングしていることを見つけると、そのあたりで何か事件があったのではないかと察することになります。

 その上で次に何をするかというと、Twitterアプリで自分の街の名前を入れて検索するのです。すると、現場で何が起きているのか、どういう状況なのか、警察や地域のニュース媒体、あるいはその場にいた人からの情報を見つけることができるのです。

 場所と起きていることが特定されれば、次の行動が決まります。たとえばクルマで移動しなければならないときは、その地域やそこに通じる道路を避けて移動するようにします。

 バークレーではデモ行進やその暴徒化などもよく経験していたので、Twitterでその群衆がどちらに動いているかを把握しておかなければなりません。

 人に関わる事件のほかに、夏場のカリフォルニアで注意しなければならないのが山火事です。今年はバークレーとオークランドの間のエリアでも山火事が発生しましたし、先日訪れていたオークランド動物園の周辺の丘でも山火事が起きました。

Twitterアプリの通知機能を活用

 そうした状況を察知して行動計画を立てる上で、Twitterは非常に重要なツールとして作用していることを実感しています。日常的な活用以上に「身を守るツール」としての信頼感が強まったことは、米国での生活における1つの変化でした。

 ちなみに筆者は、TwitterのiPhoneアプリの「通知」機能を使って、地域のニュースを素早く察知できるようにしています。アカウントをフォローするだけでなく、新しい投稿をプッシュ通知で知らせるように設定するのです。こうすることで、iPhoneのロック画面やApple Watchで最新のニュースを知ることができます。

 たとえば地元のニュースチャンネル「KRON4」や「NBC Bay Area」は、素早く情報を察知するきっかけになります。また、地元バークレーのニュースメディア「Berkeley Side」も、現場の人たちの情報を集めてリツイートしてくれるため状況ハックに便利です。加えて、「NWS Bay Area」をフォローして、最新の気象通報を受け取れば、最低限の「身を守る情報」が手に入ります。

 筆者は東日本大震災発生時につくば市にいて、東京の自宅に戻れなくなり、家族とも普段の手段で連絡が取れなくなった経験がありました。メールやメッセージなどが通じない状態で、Twitterの投稿はうまくいき、家族に安全を伝える事ができました。

 ちょうど日本では先週末、「天空の城ラピュタ」が放映され、ストーリーに合わせて同時に投稿する一種の負荷テストが行なわれたと聞きます。もちろん現状ではデマの拡散の問題が解決されたとはいえませんが、Twitterに慣れていることは、サバイバルする1つの手段を確保する上で重要な訓練と言えるのではないでしょうか。


matsu

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura