日本人のノーベル賞受賞は10年後に激減する可能性がある

 2017年のノーベル物理学賞の発表があり、今年の受賞者は、マサチューセッツ工科大学名誉教授のレイナー・ワイス(Rainer Weiss)博士と、カリフォルニア工科大学名誉教授の二人、バリー・バリッシュ(Barry C. Barish)博士とキップ・ソーン(Kip S. Thone)博士となった。

 受賞理由は、「レーザー干渉計LIGOを用いた重力波観測への多大なる貢献」だ。受賞者は米国人学者3人であるが、この観測に加わった各国の研究者は1000人を超えるという、まさに国際的なチームワークである。投じられた国家資金は破格であり、日本の大学などへの研究開発予算を考えると、このままでは日本人の物理学賞受賞は難しくならざるを得ない。

重力波観測施設に投じられた
巨額の米国家資金

 LIGO(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)とは、重力波の検出のための大規模な物理学実験施設である。アメリカ国立科学財団(NSF)に設立された施設だが、投下された資金は1000億円程度のようだ。 科学技術予算としては破格であり、アメリカ以外ではできなかったといわれている。