家庭内で人知れず受動喫煙に苦しんでいたり、虐待をされている子どもは大勢いる。しかし、声を上げられない彼らに代わって法律や条例で保護しようという動きが出るたびに、左翼マスコミからは「監視社会だ」「ファシズムだ」との反対意見が出てくる。(ノンフィクションライター 窪田順生)

条例づくりのきっかけは
子どもから寄せられた3件の相談

自分から声を上げることのできない「弱者」である子ども。左翼マスコミが、子どもの権利を守るための罰則規定や通報制度を「監視社会の再来」と槍玉に挙げる理由はどこにあるのだろうか?(写真はイメージです)

 今日10月5日、東京都議会で「子どもを受動喫煙から守る条例案」が成立する。

 子どもがいる家庭や、自動車の中での禁煙を努力義務とするほか、学校、児童福祉施設、公園、小児科などの敷地内でも、子どもの受動喫煙防止に努めなければいけないという条例で、このように「子ども」に主眼を置いた受動喫煙に関する条例はこれまで存在していない。

 条例案の骨子をつくった岡本光樹都議(都民ファーストの会)は、「日本初」の条例が生まれた背景を以下のように説明する。

「もともと私は弁護士として10年以上、受動喫煙に関する相談を受けていました。そこで寄せられるのは、ほとんどは職場や住居における受動喫煙の問題でしたが、3件だけ『子ども』に関するものがありました。それがこのような条例をやらなくてはいけないと考えたきっかけです」

 3件ぽっちで?と驚くかもしれないが、岡本都議にとって、この3件は他の相談と比べ物にならないほど「印象に残った」という。

 たとえば3件のうちの1件では、祖父母と3人で暮らす中学生からの相談だった。2人ともヘビースモーカーで、喉も痛いし気持ち悪くなるのでやめてほしいと訴えた。祖母は家の外で吸ってくれるようになったが、祖父はまったくとりあわず、「嫌ならお前が出ていけ」と逆ギレされる始末だった。

「私はもう50年、タバコを吸い続けています。そして我が家でも、自由にタバコを吸い続けておりまして、子どもが4人、孫が6人、一切誰も不満は言いませんし、みんな元気に頑張っております!」と胸を張った自民党の大西英男・前衆議院議員のような「愛煙家」のなかには、「一家の主が家で吸って何が悪い」という考えを持つ人も多い。

 それは、裏を返せば喫煙者である親の顔色をうかがって「くさくて嫌だ」「煙いからやめて」という声をあげることができず、受動喫煙を強いられている子供たちが全国には無数に存在しているということでもある。