現役経営者はMBAという学びの場をどう捉えているのでしょうか(写真はイメージです)

MBAでビジョンの
共有の重要性を知った

 前回に引き続き、明治大学大学院で私のゼミに通う3人の経営者について紹介したいと思います。Dさん(49歳)は3つの会社の経営者で、Eさん(37歳)は不動産投資会社を起業した経営者、そしてFさん(53歳)は大資本系列のマーケティング会社の執行役員を務めています。

 Dさんは、自分がこれまで経営者として二十数年間やってきたことが果たして正しかったのかどうかを知りたいと思いました。Eさんは15歳で社会に飛び出し、20歳の時に起業(自動車をオークション売買するビジネス)。その後、不動産ビジネスを始めました。もう一歩上の経営者になるために、顧客と対等に話ができるだけの教養を身につけたいと思い、大検を受けて大学に進学し、さらにMBAにやって来ました。そしてFさんは、執行役員に抜擢されたことで、もう一度、経営、特に人のマネジメントについて学びたいと思ったのが入学の動機でした。

 さて、それぞれ、様々な意味での「学び直し」のためにMBAに進学しましたが、実際に学びつつある彼らは今、何を感じているのでしょうか。現役経営者がMBAで学ぶものとは何か、このMBAという学びの場をどう捉えているのか、私にとっても大変興味深いポイントでした。

 Dさんは、「私の場合、実務面から言えば、MBAは役に立ちません」と辛口です。

「例えば私は経理実務を二十数年間実際にやってきているので、もしかすると私のほうが会計の先生よりも詳しいかもしれません。税務は確かに新しい情報に追いついていませんが、そこは税理士を雇っているから問題はないわけです。法務もそうです。経営者は概念だけわかっていればいい。営業やマーケティングもある程度はやってきているわけですし、できると思っています。だから、そこをあえて基礎コースで学ぶのは正直、苦痛です。人材マネジメントもそうです。これまでに100人近い人間を雇ってきて、曲がりなりにも経営をしてきていますからね」