【欠点2】いつもなぜか「忙しそう」にしている

 研修がおこなわれている時間の半分以上、リズは会場の外にいた。研修に丸一日拘束されると考えれば、たしかに8時間は長く感じられるかもしれない。だが真剣に取り組めば、8時間などあっという間だ。

熱心なのに好かれない「残念な上司」の3欠点『SINGLE TASK 一点集中術』では、研究に基づいて、生産性が上がり、周りからの人望も得られる方法がさまざまに紹介されている。

「ニューリーダー」であるリズは、自分にマルチタスクをこなす能力があることを自負していた。そしてチームとの信頼関係を築くプログラムを達成するたびに(すなわちその日のスケジュールを消化するたびに)チェック項目を消していった。それと同時に、オフィスにしょっちゅう連絡をいれては、あれこれ指図をしていた。

 そんな真似をしなくても、オフィスに戻ってから指示をだすほうが効率的だろうに。オフィスで生死にかかわる問題が生じているわけではないはずだ。なにも手術中の脳外科医にちょっとでてきてもらい、チームの問題を解決してもらっているわけではない。

 結局、リズは多くの時間と人的資源を投入しながら、研修を無駄にした。そして、当初の目的とは正反対の結果を招いた。「チームのために本気で尽くしていない」という事実を身をもって部下たちに示してしまったのだ。