[ロンドン 4日 ロイター] - ドイツのショイブレ財務相が退任し、後任の人物が財政黒字を減税や支出拡大に充てる政策を進めるなら、金融市場では欧州版「リフレ」相場が到来するかもしれない。

先の連邦議会(下院)選挙を受け、ショイブレ氏は同議会の議長に転じる見通しとなっている。メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)がビジネス寄りの自由民主党(FDP)および緑の党と連立を組むようなら、厳格な財政タカ派だったショイブレ氏の時代より拡張的な財政政策に転じるとみられている。

FDPも財政タカ派だが、マニフェストには300億ユーロ(350億ドル)の減税を盛り込んでいる。

この提案が通るかどうかには疑問もあるが、ドイツは過去最大の財政黒字を抱え、財政拡張の余地があるのは確か。そうした政策が実施されれば、米大統領選でトランプ氏が勝利した後のような「リフレ」取引が活発化する可能性がある。

BNPパリバ・アセット・マネジメントのコア債券・最高投資責任者、パトリック・バーブ氏は「新たな連立政権では、緑の党が公共支出の拡大、FDPが減税を認められそうだ」と予想。リフレ環境下で人気が高まる株式のほか、物価連動債と不動産への投資を増やしたと説明した。

新たな連立政権はCDU・CSUと緑の党、FDPの組み合わせになる可能性が最も高く、黒、緑、黄という党旗の色から「ジャマイカ」連立と呼ばれている。

次期財務相の最有力候補ははっきりしていない。名前が挙がっているFDPのリントナー党首は、財務相に就くより議会で党を率いたい意向を示しているため、クビキ副党首に道が開かれる可能性もある。

その上、FDPも放漫財政派というわけでは決してない。減税を提案しながらも、財政収支の黒字維持を明言している。

ただ、多くの投資家は財政が幾分緩むと期待している。

資産運用会社パインブリッジの最高グローバル・エコノミスト、マーカス・ショーマー氏は、「ジャマイカ」連立の下で300億ユーロの減税と100─200億ユーロの支出拡大が実現すると予想し、その場合には欧州資産の組み入れを増やせると話した。

これまではショイブレ氏が目を光らせていたため、ドイツは欧州で数少ない継続的な財政黒字国の1つで、欧州委員会から財布の紐が堅すぎると批判を浴びるほどだった。

オランダのファンド、NNインベストメント・パートナーズのエコノミスト、Willem Verhagen氏は「ドイツがもっと早くリフレ政策を採っていたら、周縁諸国に対外需要という支援の手が差し伸べられ、これらの国は成長率が高まって結果的に財政赤字も縮小していただろう」と話す。

ショイブレ氏が去っても変わりそうにないのは、金融緩和政策に対するドイツ国民の嫌悪感だ。FDPが政権入りしても、ドイツは欧州中央銀行(ECB)に緩和の縮小を迫り続けるだろう。

(Abhinav Ramnarayan記者)