対照的に増加傾向にあるのが、広告宣伝費および販売促進費だ。運賃を削減した分の原資を販売強化に回し、積極的な広告宣伝や販売促進を行っている攻勢がうかがえる。

 そのようにして今、特に販売に力を入れている国の一つがインドネシアだ。

 インドネシアでは今月、7人乗りの新型ミニバン「エクスパンダー」の出荷を開始した。

 世帯人数が多いインドネシアでは、こうした家族向けミニバンの人気は高いが、すでにトヨタ自動車やホンダなどから同じクラスの車が出ており競争は激しい。

 しかし、エクスパンダーは受注台数だけで2万3000台以上と、すでに年度計画に迫る勢いだ。ライバル車とほぼ同じ価格設定で車高などのサイズを一回り大きくしたことや、スポーツタイプ多目的車(SUV)の特徴を取り入れたデザインなどが受け入れられ、販売強化の効果が表れている。

 ゴーン会長が言うまでもなく、インドネシアをはじめ、フィリピンやタイなど東南アジア諸国は三菱自が伝統的に強みを持つ成長市場である。

 いずれも1960~70年代に生産・販売を開始し、販売シェアはタイで7.5%(16年)、フィリピンで15%(同)を占める。

 ベトナムなどの新規開拓も視野に入れており、17年度の販売台数見通しでは、中国を含むアジア全域で前年度比23%の大幅増(図(3))を見込む。

 三菱自が今月18日に発表する3年間の中期経営計画では、販売台数を17年度予想の102万台から19年度に125万台まで一気に増やす予定だ。

 だが、この大幅増を実現するためには、東南アジアのシェア拡大だけでは厳しく、グローバル戦略車として今秋以降、各地域で投入される新型SUV「エクリプスクロス」で販売の上積みを図れるかどうかが鍵を握りそうだ。

 中期経営計画ではまた、営業利益率を6%以上にするという目標も掲げる。

 16年度に業界最低だった営業利益率(図(4))をどこまで伸ばせるかは、やはり日産とのさらなるシナジーを創出し続けられるかに懸かっている。電気自動車(EV)などの研究開発費の増加も収益悪化要因となる。

 かなりハードな3年間の目標を仮に達成したとしても、その次に待ち受けるのは、ゴーン会長が描く「22年の世界」だ。

 異次元ともいえるその高みに、三菱自はアライアンスの一員として立つことができるのだろうか。

 だが、仮に身の丈を超えた規模の追求をしてしまえば、再び組織の歪みが露呈しかねないことを肝に銘じておかなければならない。