衆院選で主要政党が傾斜する「財政ポピュリズム」の危機感欠如9月28日、臨時国会の冒頭で衆議院が解散。10月10日公示、22日投開票に向けて永田町が動きだした Photo:UPI/アフロ

 この夏に相次いだ大洪水によって、インドやネパール、バングラデシュでは1200人以上が亡くなった。倒壊家屋は95万棟以上、被災者数は4000万人に達するという(8月28日時点、日本赤十字)。

 東京に住む知人のインド人から被害の状況を聞いていたところ、日本で今後起きるかもしれない災害に話題が及んだ。彼女は「日本政府の災害救済予算は幾らか」と度々質問してきた。被災者にとって、それは非常に重要な金額という認識だった。

「もし大災害が発生したら、これまでと同様に、日本政府は補正予算で国債を増発して復興費を計上するだろうから、当初の災害対策予算は救済の上限にならない」と答えたら、全くふに落ちない表情をしていた。

 日本の政府債務は巨大だと聞いているのに、なぜ救済費を国債ですぐに捻出できるのか、彼女は非常に不思議がっていた。洪水で被害を受けた前述の国々は復興費に限りがあり、赤十字などが国際的な救済を呼び掛けているからだ。

 言われてみてあらためて気が付いたが、近年の日本の財政状況は、海外から来た(金融市場関係者ではない)一般の人々の目にはミラクルに映るようだ。ちなみに、最近の10年国債金利は、インドが6%台後半、日本はゼロ%近辺だ。それより期間が短い国債はインドが6%台だが、日本はマイナス。国債発行金利がこれだけ異なると、人々の予算に対する意識はおのずと異なってくるといえる。