江戸時代、幕府公認の遊女屋が立ち並び、日本一の色街として栄えた街・吉原。そんな街に昨年オープンしたのが遊郭・赤線跡・歓楽街などの文献を専門に扱う書店「カストリ書房」(東京・台東区)。店内には各地の遊里史文献や、国会図書館にも所蔵されていないような幻の遊郭専門書の復刻本が並ぶ。(清談社 真島加代)

幻の遊郭専門書も並ぶ店内
客層は20~30代の女性が6割

遊郭・赤線跡文献専門書店「カストリ書房」の魅力、若い女性が殺到!遊郭や赤線跡の書籍を扱うカストリ書房は、20~30代の若い女性がメイン客層。幻の名著を復刻したのがビジネスの始まりだった(吉原内で8月17日に移転。写真は移転前の店舗のもの)

「オープンしたのは昨年の9月。平日は10人前後、休日には20人前後のお客さんがいらっしゃいます。平積みにしている本は、新しく入荷した本だったり、今推したい本だったり、タイミングによって変わります。本当は全部平積みにしたいんですけどね」

 こう語るのは、カストリ書房の店主を務める、運営元の株式会社カストリ出版代表取締役社長・渡辺豪氏。

 カストリ書房の来店者は、開店当初から20~30代の女性が6割を占めているという。遊郭や赤線跡の書籍を扱う書店としては少々意外だが、彼女たちが“遊郭”に魅入られる理由とは?

「不況などを理由にセックスワーカーが職業の選択肢の一つにさえなり得ることや、昭和レトロブームなどが理由として考えられるのではないでしょうか。とはいえ、接客中『どのような本をお探しですか?』とお声がけするのですが、タイトルを指定して来られる方はほとんどいません。遊郭や赤線が気になってはいるけど、理由は明確でなく自分の興味の源流を探りに来ているような印象です」

 渡辺氏は「趣味って『何で好きなの?』って聞かれると困りますよね。多分、お客さんも“なんとなく”来ているんだと思います」と笑う。そんな渡辺氏も、もとは遊郭・赤線跡を趣味で調査していた1人。何ゆえ、現在のような復刻本の出版や書店経営者となったのだろうか。