ダメな経営者はコスト削減の順番を間違える

何からコスト削減するか?

 お客さまは、あなたの会社が提供する商品やサービスを求めているということは、このコラムで何度も取り上げました。

 経営者はお客さまの要望に応えるため、他社に勝る商品やサービスを提供し、QPS(Quality、Price、Service)の組み合わせを提供しなければなりません。しかし、経営者としてはQPSに加えて「C」、コスト(cost)の要素ももちろん考えておく必要があります。

ダメな経営者はコスト削減の順番を間違える小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 会社の業績が順調であっても、経営者は常にコストを意識しているはずですが、業績が不振の時は、コスト削減を最優先に行わなければなりません。売上の伸びは不確定要素が大きいものの、コスト削減は、削減分は確実に利益アップになるからです。

 しかしコスト削減には順番があり、これを誤るとお客さまが求めるQPSが出せなくなり、商品やサービスを買ってもらえなくなります。下手なコスト削減をやると、利益アップどころかさらに売上が落ち、利益も落ちるということになりかねません。

 管理会計的に説明すると、業務は「付加価値活動」と「非付加価値活動」に分けられます。付加価値活動とは、お客さまの満足に直接関わる業務のことで、商品の製造、品質管理、営業活動などが該当します。お客さまに直接喜んでいただくための活動とも言えるでしょう。

 非付加価値活動は、お客さまの満足に直接関わらない活動です。経理や総務の仕事がそうですし、営業であっても、社内で伝票を整理していたり、報告書を書いている時間は非付加価値活動です。

 コスト削減の大原則は、非付加価値活動から行うこと。業務を簡素化したり、携わる人員を削減しても、お客さまの満足には影響しません。