目次構成にかけた時間は
ほぼ1年

――それから?

飯沼 このプレゼンの後から、伊藤さんとともに「目次構成」を練り直しました。伊藤さんは何度も何度も構成案を作り直してくれて、それをもとにふたりで議論する。そんな作業を、1年近く延々とやっていましたね。

 伊藤さんは目次構成をつくるにあたって、本当の自分を探ろうとして、自腹でわざわざ「コーチ」を雇ってコーチングしてもらっていたのです。そしてコーチと会話しながら、伊藤さんの強みや書きたいことを整理していったんですね。「自分では気がつかない成功法則で、自然にやっていることがもっとあるはずに違いない!」と伊藤さんは考えたようです。

 そこで丸一日のコーチングを5回くらい受けたそうです。そうやって自分の成功法則を、さらに、あぶりだしていったんです。

この本は、目次をみると「奥義」など言葉がとても面白い。

飯沼 これらワードは、基本的に8割は著者の伊藤さんが考えました。通常はこういう作業は編集者の僕がやります。普通は、著者は自分が成功した要因を考えて書くまでが担当するパートで、それをあたかも「パッケージ」になっているように整理して構成をしなおして、「ネーミング」をしていくのは、客観的に見られる編集者のパートなんですね。

 でも今回、著者が積極的にその作業をしたのは、伊藤さん自身、PRやデザイン関係のお仕事をされているので、このような「パッケージング化」がとてもお上手だったからです。だから伊藤さんが8割方つくられて、後の2割を僕のほうで補完したという感じです。伊藤さんのセンスは、トップ編集者レベルだと思いますよ。

――たしかに「1秒即決法」とか「成功の糸は木曜日に降りてくる」とかうまい。

飯沼 そうですよね。目次がかなりハイクオリティーだったので、その後の原稿作成はとてもスムーズでした。目次作りに1年かかったのに、そこから本になるまでは5か月でしたからね。

――バカリーマン日本代表という肩書きは?

飯沼 これも伊藤さんが考えられました。さすがです。書名も当初「バカリーマンでも年収1000万」というのも考えました。でもサラリーマン以外にも買ってもらいたいと思ったのでそれはやめました。この本は、ニートの人も、フリーターも、主婦の方も、もちろん学生の人に読んでもらいたいと思いましたし、様々な人の役に立つ本だという自信もありました。

 あと、出版後ですが伊藤さんはいつも「日の丸」のバッチをつけるようになったんです。「バカリーマン日本代表」ということで。すると、伊藤さんが日の丸のバッチをつけると、大阪などに行くと読者の方から「じゃあ、僕はバカリーマン大阪代表を名乗ってもいいですか」などと言われたりしていましたようですね(笑)。