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システム開発を「コンテスト」に変えれば
高い技術を素早く手に入れられる

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第73回】 2017年10月13日
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クラウドソーシングという選択肢

 こうした中、一般のユーザー企業がデジタルイノベーションのためのシステム開発を行うにあたって、従来の委託開発と異なる外部活用の選択肢が浮上してきており、その1つが「クラウドソーシング」である。

 それでは、一般的なクラウドソーシングがこうした課題の解決策となり得るかについて考えてみよう。クラウドソーシングは、不特定多数の人の寄与を募り、必要とするサービス、アイデア、またはコンテンツを取得するもので、群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた造語である。国内においても2013年ごろから利用が本格化し、クラウドソーシングを専門とする業者も多数存在している。

 しかし、その多くは企業が発注する仕事と、それを請負うフリーランスの個人や中小事業者とをマッチングするというスタイルが一般的である。実際に依頼されている業務は、デザイン、Web系システム開発、執筆、翻訳、一般作業など幅広いが、比較的小規模な案件が多く、高度な専門スキルを要するものは少ない。あくまでも、依頼者と人(個人または事業者)を仲介するものであり、成果物を保証する仕組みはない。システム開発を委託するスキームというよりは、自社の開発要員を補完する人材を探すためのサービスと捉えるべきである。

 前述のようなデジタル技術を活用したイノベーション案件において、デベロッパー・タイプを補完する人材に巡り合うことができる場合もあるだろうが、そうでない場合もあろう。こうした一般的なクラウドソーシングサービスを活用してシステム開発を依頼する場合は、依頼に応じてきた技術者を過去の実績などから選定し、秘密保持契約(NDA)を締結した後に仕様書を提供するという方法を採る場合が多い。そのため、一般的なSoR案件で委託開発先を探すのと大きな違いはなく、仕様が確定していなかったり、プロトタイプを繰り返し改善していったりする案件には必ずしも適合しない。

クラウドソーシング型
開発コミュニティの台頭

 これらの一般的なクラウドソーシング業者と一線を画す新たな選択肢の1つが、Topcoder(トップコーダー)に代表されるクラウドソーシング型の技術者コミュニティである。「競技プログラミング」と呼ばれるコンピュータプログラムのコンテストおよびソフトウェア開発のクラウドソーシングを行うサービスであり、運営会社のTopcoder社は2001年に創立され、2013年にクラウド・コンピューティングのコンサルティングやインテグレーション事業を行う米Appirio社に買収されている。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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