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システム開発を「コンテスト」に変えれば
高い技術を素早く手に入れられる

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第73回】 2017年10月13日
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 Topcoderには現在、世界190ヵ国110万人以上の技術者がコミュニティ・メンバーとして登録されており、常時数十のコンテストが並行して開催されている。Topcoderには、デベロッパー・コミュニティ、デザイナー・コミュニティ、データサイエンティスト・コミュニティの3つコミュニティがあり、それぞれアプリケーションやAPIの開発、アプリケーションやUI/UXの設計、データ分析やアルゴリズム最適化などを依頼することができる。

 Topcoderでは顧客の要望をオンサイトの技術者であるコミュニティ・アーキテクトが聞き取り、コパイロットと呼ばれるコンテスト・マネジャーがコンテスト計画に切り分け、それぞれの分野で最もスキルのあるメンバーがそれに参加する形でプロジェクトが進められる(図1)。プロジェクトを小さな単位のコンテストに切り分けることをプロジェクトの原子化と呼んでいるが、この切り分け方が重要なポイントとなるため、それをコミュニティ・アーキテクトやコパイロットが支援する。1つのコンテストの期間は、数日から2週間程度に切り分けられるという。

出典:Topcoderの資料を基にITRが作成

 競争形式のコンテストに対して、参加メンバーが各自プログラムなどの成果物を作成する。成果物は、同じくコミュニティ・メンバーであるレビューボードによってスペック(顧客の要求)の充足度や、品質、機能の正確性などがチェックされる。また、顧客とオンサイトでプロジェクトを進めるコミュニティ・アーキテクトも別途提出物をチェックする。こうして提出された成果物の中から優れた成果物のみを採用し、賞金を支払う。稼働時間に対する支払いではなく成果物に対する支払いを基本思想とする。いうまでもなく、成果物の知的財産権は依頼元である企業が所有する。

 優秀な成果物だけが賞金やレーティング(個人スコア)が得られる仕組みであることが、コミュニティ・メンバーである開発者のモチベーションと成果物の品質を高める要因となっている。毎回のコンテスト後に、それぞれの成果物の相対的優位度が計算され、過去のレーティングと統合したうえで、現在のレーティングが計算され、そのランクごとにハンドル名の色(ハンドルカラー)が設定されており、スキルの可視化を図っている。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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