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グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

AI時代に求められる人材の要件

大西 俊介
【第2回】 2017年10月17日
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 ただ、よく考えてみるとこの時代の失敗の原因の裏側には、ITがビジネスの要求に答えられていない部分が、かなりあったのです。

 一言でいえばビジネスの複雑性に追いついていけてなかったのですが、例を挙げると、

①新しい事業を立ち上げても、計画通りに進むことはまず少なく、柔軟に戦略を変更していく必要がある。
②環境の変化に応じて組織構造とこれ紐づく業務ルールをスピード感をもって変更していく必要がある。
③異なる市場(地域や国)での事業運営状況をファクトベースで把握し、戦略を機動的に展開する必要がある。等々

 ITの技術レベルの限界、機能レベルの貧弱さは上記のようなビジネス側の要求に応えることができませんでした。

 またこの時代のITプロジェクトのテーマはあくまでも既存の仕組みを置き換える、変革するということでした。ゼロから新たな事業を構築するといったようなプロジェクトはあまりなく、だからこそ現場の業務を熟知したベテランや教科書で一般的な業務知識を勉強したコンサルタントがより優遇されたと考えています。

 自分がNTTに入社した頃は、理系の修士課程を終えた同輩にいろいろ助けてもらいましたが、数年たって、当時の上司から言われた言葉は、「これからのITは技術を追い求める(社会性に劣る)理系学生ではなく、事業の現場に近い業務知識を有する文系学生(特に社会科学)の時代がくるぞ。」でした。

ITの逆襲がはじまる2000年代
――クラウド、ビッグデータ、AI

 ところが2000年代に入って、状況が変わってきました。ITの巻き返しが始まったわけです。

 その1つが「クラウド」です。PaaSやIaaSではITシステムをハードウェアの物理的制約から解放し、ビジネスの状況によりシステムリソースを柔軟に変更できることになりました。新しい事業や市場へ取り組みにあたり機動的にビジネスの基盤を拡大(もしくは縮小)できることが可能になったわけで、これは大きな進展でした。

 近年、プラントや工場の設備の稼働状況や顧客の購買データが広範囲に集約され、分析を行うことにより次の一手を先読みして打つことが可能になってきています。

 さらにデータレイクとその分析機能を軸としたAIの活用がさらに大きな可能性を予見されるまでになりました。そして、分析の基礎にあるのは統計解析論なのです。

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大西 俊介
[インフォシスリミテッド 日本代表]

おおにし・しゅんすけ/1986年、一橋大学経済学部卒業後、同年日本電信電話株式会社に入社、株式会社NTTデータ、外資系コンサルティング会社等を経て、2013年6月より、株式会社NTTデータ グローバルソリューションズの代表取締役に就任。通信・ITサービス、製造業界を中心に、海外ビジネス再編、クロスボーダーな経営統合、経営レベルのグローバルプログラムの解決等、グローバル企業や日本企業の経営戦略や多文化・多言語の環境下での経営課題解決について、数多くのコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。NTTデータグループの日本におけるSAP事業のコアカンパニーの代表として、事業拡大に貢献した。SAP2017年1月1日、インフォシスリミテッド日本代表に就任。著書に「グローバル競争を勝ち抜くプラットフォーム戦略」(幻冬舎)等がある。

グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

グローバル化とその揺り戻しともいえる保護主義が錯綜する世界のビジネス環境。そこで生き残る企業の条件を、外資系IT企業日本代表の立場で論考する。

「グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略」

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