その指定を受けたクルマについては、車検を行う運輸支局にいちいち持ち込まずともディーラーでナンバーをつけてそのまま走らせることができるのだが、それにはメーカーがちゃんとチェックをしましたよと証明する完成検査終了証が添付されていることが条件だ。ちなみに、この証書には9ヵ月という有効期限があり、ディーラーが売れ残りなどで未登録の新車をそれ以上長期にわたって在庫してしまった場合は、新車であっても運輸支局であらためて予備検査を受ける必要がある。

 完成検査はチェック項目こそ決められているが、やり方は自動車メーカーによって異なっている。国交省が唯一求めているのは、「公的な車検場における検査官と同等技量を持つという資格制度を社内で設け、資格があると認定された人物が検査を行え」ということだ。

 日産自動車が不正を行ったとされるのは、有資格者ではない人物が完成検査を行っていたということ。

「運輸支局にクルマを持ち込まなくてもいいという型式指定制度の信頼を揺るがす」(国交省関係者)と、国がおかんむりになっているのもむべなるかなで、日産の違法行為は糾弾されて当然である。

なぜ日産は初歩的な
不正をやってしまったのか

 ここで、どうしても解せないのは、なぜ日産がそんな初歩的な不正をやってしまったかということだ。筆者は日産の工場を何度も見学したことがある。日産は高級車ブランドであるインフィニティの世界展開を目指していることもあってか、品質検査を行う熟練職人の養成については、自動車メーカーのなかでもことのほか熱心な方だった。