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美人のもと

ヨシヨシ

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第118回】 2011年10月24日
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 秋になるとスエードの活躍機会が増えてくる。洋服だけではなく、アクセサリーや靴など広く愛されている。

 フワフワした起毛感がかわいく、暖かく感じる。特にブーツなどで足元が暖かい印象は好感を覚える。レザーと同じ素材で表裏の関係なのに、レザーとは全然違う印象なのだ。

 美人はスエードとの付き合い方がうまい。さりげなく取り入れていている。フワフワ感なのに、ぼんやりした感じがなく、むしろしまって見えるのだ。このしまった感じをつくる方法は何なのだろう。

 それは丁寧な扱いにあると思う。

 スエードは革の内側をなめしてきれいな起毛感をつくっている。そもそもデリケートな仕上がりである。汚れやすいし、傷も目立ちやすい。

 だからこそ、お手入れをこまめにやる必要があるし、お手入れをすることで風合いがよくなっていく。お手入れに対して素直な存在だ。「ヨシヨシ」と誉めながら育てるように。そして、その「ヨシヨシ」は、持ち主の美人のもとを増やす。

 ヨシヨシで育ったスエードはどんどん本人になじんでいく。一体感だ。汚れやすいスエードなのに清潔感が出てくる。

 このなじんでいる様が、しまって見える原因なのだろう。

 一方、スエードへのヨシヨシが少ない人もいる。たとえばブーツを買ったままほとんどお手入れもせず履き続けている人。どうしても足癖である部分が変色するのだが、そのまま。汚れをどんどん集めている感じ。それにより、しまった感じよりも不潔な場所をつくっていくのである。ヨシヨシされずにスエードがどんどんグレていく。グレたスエードは「美人のもと」を減らしていく。

 店で「かわいい」と思って買ったものがグレてしまい、厄介なものに変わっていくのだ。ところが本人はずっと「かわいい」と思い続け、結果として「美人のもと」を減らし続けることになる。

 スエードは素直だ。その扱いで大きな差をつくってしまう。かわいいと思ったものをいつまでもかわいがって育てる。モノからなんでもかんでも享受するのではなく、自分のモノを成長させるという姿勢がカタチになるのだろう。


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西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


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『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

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