流行の油はその後、危険性が指摘されている

 一時期、ω-6系のリノール酸が健康にいいとされ、トウモロコシやヒマワリを原料とする油がもてはやされたことがありました。ところが、いまでは動脈硬化を進行させることがわかっています。

 さらに、バターの代わりにマーガリンを摂取することが推奨された時代もありました。しかし、マーガリンは本来、液体である植物性の油を人工的に固形にした不自然なものです。マーガリンに多く含まれるトランス脂肪酸は非常に危険な物質で、心疾患を増やすことがはっきりわかっています。

 そのため、欧米ではトランス脂肪酸の使用が厳しく規制されているものの、日本では野放し状態です。コンビニで売られている菓子パンやスナック菓子には、マーガリンやショートニングといった油が使われていますが、そこにはトランス脂肪酸が多く含まれていると認識してください。

 このように、脂質については「いい」と言われていたものが、数年後には「危険」に変わることも多く、いたずらに飛びついてはいけません。

 いま流行のココナッツオイルは、すでに発がん性が疑われています。まだ証明はされていませんが、おそらく危険な油ではないかと私は思っています。さらに、90%以上が飽和脂肪酸で、動脈硬化を進める動物性脂肪です。

なぜオリーブオイルは最強の油なのか?

 一方、オリーブオイルについては、ほぼ100%、健康にいい油として積極的に摂取していいと私は判断しています。一価不飽和脂肪酸が豊富な油で、105歳まで医療の最前線に立ち続けた聖路加国際病院の故・日野原重明先生も、毎朝オリーブオイルを飲んでいたそうです。

 2016年の研究では、エキストラバージンオリーブオイルは食後血糖値を50mg/dl以上下げることが報告されています。摂取量の目安として、大さじ1~2杯(15~30ミリ)ぐらいを適量と考えていいでしょう。

 ただし、高品質の加熱処理をしていないものであること、製造日からあまり日数が経っていない新鮮なものであること、開封したら早めに使い切ることといった条件はつけておきます。

 オリーブオイルは、液体の油でありながら、比較的変性しにくいと言われていますが、どんな油でも変性に注意が必要。加熱処理していないエキストラバージンオリーブオイルであっても、冷暗所で保管し、新鮮なうちに使い切ってしまいましょう。

(この原稿は書籍『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)