普段、何気なく着ているスーツのジャケット。しかし、無意味に思えるポケットひとつ、袖のボタンひとつを取っても、実はそれらができた“歴史”がちゃんとあります。(ファッションスタイリストジャパン代表取締役 西岡慎也)

スーツのジャケットにあるポケット
蓋は出すのかしまうのか?

普段何気なく扱っているスーツのポケットの蓋。しかし、この蓋ひとつ取ってみても、実はちゃんと目的があって付けられているものなのです

 10月に入り、急に涼しくなってきました。クールビズでワイシャツ1枚では肌寒く感じることでしょう。ワイシャツの上に着るものといえばスーツのジャケット。本日はそんなジャケットにまつわるお話をお届けさせていただきます。

 スーツやジャケットが今のような形になっているのは、何かしらの理由があります。それを知らずしてブランド物を着たりすると、知らずして恥をかくことがあります。モノを買う前に、ぜひ裏付けを知ってから装いを楽しんでください。

 例えばポケット。スーツを仕立てると、必ずといっていいほどポケットに「フラップ」という蓋の役割を果たすものがついています。お客様からも「ポケットの蓋はしまうのですか?出すのですか?」とご質問をいただくことがあります。実は、このフラップ、元々は屋外で着る際の雨除け・埃除けの蓋として生まれたものなのです。つまり、ポケットに雨や埃が入るのを防ぐ目的です。

 ビジネスでは、外出することもあれば、屋内で仕事をすることもあります。このため、フラップは出してもしまっても問題なく着ていただくことができます。それでも、本来の目的を知ることで、「外にいるときは出し、中にいるときはしまう」――このような所作がさりげなくできたら、非常にスマートですね。

 ちなみに、パーティー用など完全に屋内のフォーマルシーンで着ることを想定したジャケットにはフラップは無用のため、付いていないこともあります。自分の着ている服の細部まできちんと把握して身につける。それだけで、日常の自信にも繋がるのです。