競争は、自分の強みと弱みを知るプロセス

もちろん競争すれば、敗者になることもあります。陸上競技で負ければ、「自分は足が遅い」という現実を突きつけられるでしょう。しかし、それも子どもにとって必要なことなのです。「自分は足が遅い、だから他の分野でがんばろう!」と思考を転換するきっかけになります。

自分の「強み」も「弱み」もよくわからないまま大人になってしまうと、進学や就職で失敗することにつながります。何となく大学に通い、何となく就職する。「自分のことがわからない」まま働いていくと、何となく転職を繰り返してしまうのです。

競争とは、子どもが社会に出るためのトレーニングと捉えましょう。子どもの時に競争と向き合う訓練をさせない、子どもを守ろうとしてしまうことのほうが、親としては無責任なのです。

子どもを競争させていく過程では、子どもが「強み」を身につけることが不可欠です。どんな小さなことでもいいですから、人よりも優れた面、人とは違う面を一つ伸ばしてあげると、子どもの自信はどんどん増していきます。そして、この強みを伸ばせるような習い事をすると子どもはたくましく成長していくのです。

しかし、小学生の子どもが自分で自分の「強み」に気づくことはできません。一番身近な存在である親が「強み」を見つけて、はっきりと言葉で伝えてあげることが大切です。

「強み」というと「良い面」「長所」でなければいけないと思っている方が多いですが、子どもの「強み」は「弱み」の中に隠れていることがしばしばあります。

たとえば「集中力がない」は多くの子どもに共通する短所ですが、見方を変えれば「活発な子」であり、人とは違う「個性」です。この活発さを「強み」として伸ばすことができれば、将来大物に化けるかもしれません。

もちろん、子どもが何かに強い関心を持っていたり、誰から見てもわかる才能や素質を有していたり、身体能力的に優れた部分があれば、それを「強み」として伸ばしてあげてください。