過去を振り返ると
思いを言語化しやすくなる

 なお、このミッション、ビジョン、バリューの導出は、みずからの経験を振り返り、言語化することで導き出されることも多い。なぜなら、過去の積み重ねが現在の思いを形成しているからだ。経験がそのままミッションになるという場合は少ないと思うが、スティーブ・ジョブスが「点を繋げる(Connecting the dots)」と述べたように、過去を繋ぎ合わせると、現在抱いている事業への思いや態度が記述しやすくなるものだ。

 ミッション、ビジョン、バリューの例として、私が経営する事業創造会社ブルー・マーリン・パートナーズのものを挙げよう。ミッションは「2020年~2040年に向けて繁栄する社会的事業、すなわち、一過性でなく継続的・本質的な事業を根っこから創る」として定義されている。

 その具体的なビジョンとして、「2020年に末端価格2兆円の知の流通業者になる」と期日と数値を盛り込んで目標を言語化している。ミッション達成のために必要な知識・資本・モノを流通させるべき活動を行い、ビジョンの達成のためにさまざまな産業の事業創造に取り組んでいる(図3)。

時流を見極めれば「豚」だって成功する<br />起業に必要な事業コンセプトの考えかた図3 ブルー・マーリン・パートナーズのミッションの概念図
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 そして、このような活動を行っていくにあたってのバリューは、クレドとしてまとめている(図4)。社員研修時など、このクレド掲げることで社員への意識の統一を図っている。

時流を見極めれば「豚」だって成功する<br />起業に必要な事業コンセプトの考えかた図4 ブルー・マーリン・パートナーズのクレド
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