
名刺交換は、日本の商習慣で欠かせない初対面の儀式だ。
一説では、元々古代中国の後漢が名刺の起源と言われ、訪問先で自分の名前と身分を書いた札を戸口に刺して来訪を伝えたことから「名刺」と呼ばれるようになったという。日本では江戸時代に始まったとされ、今では世界で最も名刺を使う国になった。
ただし、それほどメジャーなビジネスツールなのに、形やデザインはどの名刺も代わり映えがしないのが現状だ。単なる儀式の小道具と化し、せいぜい面談中に相手の位置関係に合わせて机上に置き、名前を確認する程度の役割しか果たせていない。それでは、あまりにもったいない。
誰しもが、訪問先で名刺交換を必ずする。いわば、誰にでも平等に与えられた最初のビジネスチャンスだ。その機会を最大限に活用するための「変わり種名刺」が今、巷で評判になっている。
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| バリエーションに富む「変り種名刺」。写真はカヤックの柳澤大輔代表取締役が持つご自身の「漫画名刺」。 |
たとえば、ウェブコンテンツ制作を得意とする面白法人カヤックが提供する「漫画名刺」の制作サービスがある。
漫画名刺とは、文字通り名刺を漫画風にアレンジしたもの。発注者の写真や要望をもとに、カヤックのデザイナーが劇画風、コミック風、少女漫画風などに本人の似顔絵を描き、それをそのまま名刺のデザインとして使うサービスだ。
「カヤックの社員は、全員漫画名刺を使っています。訪問先でのインパクトは絶大。名刺をきっかけに最初から話が弾みます」(カヤック)。
アイスブレイクに打ってつけの漫画名刺。料金は10万円で、データと名刺100枚が納品される。
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| アライブの伊藤喜之取締役が持つ「すごい名刺」。開くと自分や会社のPR情報がギッシリ! |
また、デザイン会社のアライブでは、「すごい名刺」の制作サービスを展開する。
すごい名刺とは、三つ折りになっているリーフレットタイプの名刺。開くと合計6面に、自分自身や会社のPR情報がぎっしりと書き込まれている。
「初対面では、会社案内や商品案内をいきなり渡せないし、自分の仕事の内容や実績もプレゼンできない。でも、名刺に書いてあれば、そこから話を広げられます」(アライブ・伊藤喜之取締役)。
伊藤氏によれば、すごい名刺を使うと話をスムーズに運べるため、ビジネスの成約率が高くなり、時には会合などで名刺を渡しただけで、その後仕事の依頼が来ることもあるという。
料金は、本人や会社のPRポイントを探索するコンサルティング料10万円と、デザイン制作・印刷代約18万円(100枚印刷の場合)となる。
一方、名刺に動画を取り入れるサービスも登場している。動画プレゼンテーション制作専門のヒューマンセントリックスでは、「動画名刺」の制作サービスを提供する。サイト上に掲載した名刺のデザイン中で、Flashアニメの本人映像とプレゼンテーションが連動し、ビジネスの内容などを30秒程度の動画で紹介できるというものだ。
「訪問する相手にサイトへのリンクを貼り付けたメールを送って見てもらえれば、事前に自分の表情や声、意気込みや熱量を臨場感たっぷりに伝えられ、安心感や共感を呼ぶことができる。いわば一度会うのと同じ効果がネットを介して実現します。アポイントも取り易くなるし、アイスブレイクがすでに済んだ状態で訪問するので、その後の商談もスムーズです」と、同社の中村寛治社長は話す。
パソコンからだけでなく、ちょうど名刺と同じようなサイズのiPhoneの画面で見てもらうことも効果的だという。料金は撮影と制作費で8万円。2人目以降は5万円と割安になるため、10人、20人の動画名刺を依頼する企業も少なくないそうだ。
「アナログの代表格」というイメージが強かった名刺だが、実は時代に合わせて確実に進化している。単なる儀式に留まらない名刺の有効活用を、一度検討してみてはいかがだろうか。
(大来 俊)
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