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 離婚をするには、現在の制度では協議、調停、審判、裁判という4つの方法があります。協議と調停は好きな方を自由に選べますが、 以降は調停がダメなら審判、審判がダメなら裁判という流れです。

 裕也さんは「もう嫁と話すことはありません。最初から『協議』を省いて、調停にしたいんですが!」と言うのですが、裕也さんの場合、夫婦関係は完全に壊れているとはいえ、同居していたので推奨できません。

 調停を申し立てると裁判所から夫婦双方へ呼び出しの手紙が届きます。一つ屋根の下で暮らしているので、妻はまさか裕也さんの方から離婚の調停を申し立てると思っていなかったでしょうから、突然、手紙が届けば妻はショックを受けて取り乱すでしょうし、妻の家出癖を考えると再度、「夜逃げ計画」を実行しても不思議ではありません。

どう離婚したのかが戸籍に残る
協議離婚がベスト

 同居、別居はともかく、離婚について何の話もせずに調停の手紙が届けば、唐突な印象を与えるのは間違いなく、離婚の可否や条件(養育費、慰謝料、財産分与など)を決める以前に「勝手なことをしてどういうつもり!」と不信感たっぷりの相手をなだめる必要があり、長期化するのは必至です。最悪の場合、機嫌を損ねて裁判所へ出頭しない可能性もあります。また、一切協議をせず調停を申し立てると、調停委員から「ここに来る前にやるべきことがあるのでは?」と苦言を呈され申立人に対して辛く当たることもあります。さらに、調停委員は女性の味方になりやすいので、今回のように妻側に原因があっても離婚の可否や親権等を決める上で不利になる危険があるという面もあります。

 離婚が成立した場合、離婚の事実(協議、調停、審判、裁判のいずれか)が戸籍に記載されますが、「協議離婚」の場合、夫婦で話し合って円満に解決したと読み取れるので離婚そのものの悪影響は避けられませんが、それでも最小限にとどめることができるでしょう。

 一方「調停離婚」の場合、裁判所を頼らなければならないほど揉めに揉めたという悪い印象を与えます。将来的に戸籍を見せる場面は例えば、再婚、再婚相手との子どもの進学、身内の相続等が考えられますが、調停より協議の方が望ましいのは言うまでもありません。