ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
シリーズ 値上げ列島

薄利多売の菓子メーカー
「値上げ難航」で利益圧迫不安

【第3回】 2008年6月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 日頃コンビニで何気なく手にする菓子の内容量が、昔と比べてわずかながら減っている。こんなことに気づいた人はいるだろうか。

 たとえば江崎グリコの代表的な人気商品「ポッキー」は、昨年10月以降、従来の一箱当たり80グラムから72グラムへと内容量が減らされている。これを本数に直すと、ポッキーが2本ほど減ったことになる。

 これはポッキーばかりではない。よくよく確かめれば、カプリコシリーズの一部など、他の商品も微妙に内容量が減っているのだ。

 この減量の理由は、「原材料高による製造コストの増加にこれ以上耐えられなくなった」(江崎グリコ)ためだ。ポッキーを例にとれば、昨年後半から、主原料となる小麦、粉乳、食物油脂、カカオ豆などが軒並み高騰しており、その勢いは留まることを知らない。そのため同社は、主要製品の減量による「実質値上げ」を行ない、コストカット効果を目指しているというわけだ。

 現在、菓子業界は岐路に立たされている。

 これまで業界では、増量や安売りによる熾烈な「薄利多売競争」が行なわれてきた。森永製菓や明治製菓が得意とする高級チョコレートはその最たる例だろう。「そもそも、あれだけコストがかかる高級チョコレートを100円程度で売っていたことに無理があった」と大手メーカーの関係者は語る。昨今の原料価格上昇は、競争ですっかり疲弊した菓子業界にさらに打撃を与えているのだ。

 とはいえ、菓子の値上げは容易ではない。そもそも若年層が主力購買層の菓子は単価が低く、「10円値上げしただけでもお客は大きな抵抗を感じてしまう」(関係者)からだ。安易に価格を「棒上げ」することは命取りとなる。そのため各社は、これまで価格を据え置いて内容量を減らす代わりに、商品に付加価値を付けてお客にアピールする作戦を取ってきた。

 たとえばグリコは、全製品のパッケージをリニューアルして色や文字を見やすくしたり、袋も開けやすくするなど、工夫に余念がない。

流通過程で弱い交渉力
圧迫要因はインセンティブ

 しかし、メーカーが値上げに難航してきた大きな理由は、他にもある。「他業界のメーカーと比べて流通過程における発言力が弱い」(食品業界に詳しいアナリスト)のだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


シリーズ 値上げ列島

資源価格の高騰により、物価上昇の流れは留まる様子がない。深刻な消費への影響は、そのまま経済の減速へと直結する。様々な形で日本列島を襲う「新型インフレ」の実態を追った。

「シリーズ 値上げ列島」

⇒バックナンバー一覧