世界一売ることが難しい商品が「殺し」を売ることができれば、世界一のマーケティング・マネージャーになることができるのではないか――そう考えた天狼院書店店主の三浦崇典氏による発売直前緊急寄稿第3弾!
いよいよ11月9日に発売となる本格マーケティング小説『殺し屋のマーケティング』(ポプラ社)において、「受注数世界一の殺しの会社」を創ろうとしている主人公の女子大生起業家七海は、師匠の西城から、世界最強のマーケティング技巧「7つのマーケティング・クリエーション」について学ぶことになる。
なんと、この小説の中に、1969年から「幻の羊羹」行列が40年以上とぎれない吉祥寺「小ざさ」が登場するという。著者の三浦氏は、吉祥寺「小ざさ」社長・稲垣篤子氏の処女作『1坪の奇跡』がきっかけで起業した。
今回、その三浦氏に、吉祥寺「小ざさ」を「7つのマーケティング・クリエーション」で読み解いてもらおう。

「7つのマーケティング・クリエーション」とは?

 マーケティングは、層の積み上げによってしか構築されない。
 今回、3年以上の月日をかけて書き上げた『殺し屋のマーケティング』の中では、「7つのマーケティング・クリエーション」を初めて披露している。

「7つのマーケティング・クリエーション」
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 このノウハウは、私がコトラーをはじめあらゆるマーケティングの大家の名著を紐解き、2013年の開業以来、4年に及ぶ書店業の中で、まさに体当たりしてつかんだ新・マーケティング理論である。
「7つのマーケティング・クリエーション」は、従来の分析主体のマーケティングではなく、実際に事業をする人向け、起業家向けの未来を創るマーケティングだ。
 実際に、小説の中にも登場する吉祥寺「小ざさ」を「7つのマーケティング・クリエーション」で読み解いていこう。

 吉祥寺「小ざさ」について書かれた稲垣篤子著『1坪の奇跡』によると、小ざさの年商は1坪で3億円を超えるという。

 坪当たりの売上高は、世界企業のティファニーやアップルストアをも凌駕する(具体的な計算式は『殺し屋のマーケティング』にある)。

 その観点で見ると、あるいは、吉祥寺の「小ざさ」こそが、世界最強のビジネスと言えるかもしれない。

「幻の羊羹」は1日限定150本であり、1つ600円程度にすぎないから、売上の9割は実は「幻の羊羹」と同じ小豆を使った「最中」によってもたらされているということになる。

「小ざさ」の圧倒的優位点

 一見、羊羹を広告商材と見立てたビジネスモデルの勝利のように見えるが、「モデル」の構築は結果論にすぎない。

「小ざさ」の優位点は、一切の妥協なく「羊羹」と「最中」を作り続けているその姿勢にある。

 つまり、「小ざさ」をある意味世界最強のビジネスモデルにしたのは、圧倒的な「コンテンツ主義」なのだ。

 それによってもたらされた「コンテンツの質」が、売上として「エビデンス」を積み上げ、それを続けていくうちに、40年以上行列がとだえないくらいの「スパイラル」を発生させる。
 その「スパイラル」の連続性が、「幻の羊羹」という「ブランド」を確立させた。

「小ざさ」が面白いのは、あえて、それを「ブーム」にさせないことだ。