[ラグナビーチ(米カリフォルニア州) 19日 ロイター] - 新興ハイテク企業の新規株式公開(IPO)市場が今年再び活発化するのではないかとの期待がしぼみつつある。これらの企業に対して、ソフトバンク<9984.T>や中東諸国などの投資基金から多額の資金が流入しているためだ。

資金が潤沢な各投資資金の出資を受けた新興ハイテク企業は、多くの上場企業より規模が大きくなってもなお、非公開状態を維持し、IPOに伴うわずらわしい手続きは御免こうむるという態度を取ることができるようになった。

今週開かれたウォールストリート・ジャーナル紙の会議で、ロイターが取材したベンチャーキャピタリストや起業家、IPO専門家、合併・買収(M&A)仕掛け人などはいずれも、新興ハイテク企業のIPO件数が驚くほど少ないことを話題にした上で、ソフトバンクなどが新興企業の資金調達の構図を変えていると指摘した。

ライトスピード・ベンチャー・パートナーズの投資パートナー、ニコル・クイン氏は「新興企業が(出資の正式な申し込みを記した)タームシートを10枚手に入れたとしても不思議ではない」と話した。

その結果、特にミューチュアルファンドなどが非公開ハイテク企業への投資を拡大した2014年以降、IPO件数は急減している。

過去数週間ではスイッチ<SWCH.N>やモンゴDB<MDB.O>などがIPOを実施し、フォースカウトなどいくつかの案件も控えている。

とはいえ、多くの投資家はその後にまた取引が落ち込むだろうと身構えており、来年のIPO市場の見通しにも不透明感が漂う。IPO投資アドバイザーのルネッサンス・キャピタルによると、米国の今年第1・四半期のベンチャーキャピタルの支援を受けたハイテク企業の上場件数は12件で、27件だった14年の同じ時期を下回った。

市場環境としてはダウ工業株30種とナスダック総合が過去1年で26%強上昇し、ボラティリティが低いという理論的にはIPOに理想的となっているにもかかわらず、案件がなかなか出てこない状態が続いている。

エクスペディア<EXPE.O>とインターアクティブコープの会長で長年M&Aを実施してきたバリー・ディラー氏は、非公開企業にとって大規模な資金調達を何度も行える以上、IPOに動く意味合いがなくなったとの見方を示した。「資金を必要としない限り、上場する理由はない。そしてほぼすべての新興企業は資金が足りている」という。

5月に930億ドルまで膨らませたところで投資基金の募集を締め切ったソフトバンクは、今年これまでに少なくとも14件に投資。この中にはフィンテックのソーシャルオフィス(出資額5億ドル)、共有オフィス運営のウィワーク(30億ドル)といった非公開だが既に価値が数十億ドルに達している企業向けも含まれている。また来週には、配車サービスのウーバー・テクノロジーズへの出資協議もまとまる見通しだ。

こうした投資基金からの新興企業の資金調達について、EBエクスチェンジを運営するラリー・アルバカーク氏は「第3の選択肢だ。かつてはIPOもしくはM&Aで実施されていた」と述べた。

(Heather Somerville記者)

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