第2本社の投資総額は50憶ドルに達するか

 シアトルの現在のアマゾンの本社は、建物が今や33棟に上り、その中にレストランやカフェが24店、他のサービスが8店あるという。

 各都市がこぞって応募した理由は、もちろんアマゾンの経済波及力である。同社が記したところによると、第2本社建設による最終的な投資総額は50億ドルで、5万人の雇用を生み出し、彼ら社員の平均報酬は10万ドルを下らないというのだ。

 その見通しに説得力をつけるのが、アマゾンが本社の足元シアトルにもたらした経済効果である。アマゾンによると、2010~2016年の間、同社は380億ドルを同市に落とした。アマゾンがあることでシアトルには同社社員以外で5万3000人分の雇用が生まれ、人々の収入は170億ドル増加。アマゾン本社を訪問する人々が地元のホテルに泊まった宿泊日数は、2016年だけでのべ23万3000日になるという。

 さらに、フォーチュン500企業がエンジニアリングや研究開発拠点をここに置くようになり、2010年には7社しかなかったその数が、2016年には31社に増えた。アマゾンがあることで、都市がまったく違った姿になるという、求心力の強さをアピールしているのだ。同社はこれまでも、生鮮品の即日配達や路面書店、店員不在のスーパーなど、数々の実験を地元シアトルで行ってきた。何でもない普通の都市が、アマゾンのおかげで未来的な場所になるのだ。

 全米の都市がアマゾンにラブコールを送っているわけだが、この完全な売り手市場で同社は各都市から税優遇などの好条件を引き出そうというのだろう。

 応募した都市の中ではデンバーが有望視されているという声もあるが、一方で、アマゾンの要求は地元都市の財政を締め付けると、明らかに同社の動きに反対の立場を明らかにした都市も数ヵ所ある。

 いずれにしても、一つの企業の本社がこれだけ注目を集めるのは、アメリカでも珍しい。これは、現在の都市科学にとって、格好の研究題材にもなるはずだ。