例えば古い建物で、配管類がコンクリートスラブを貫通している物件は、水回りの工事や配管の交換が困難になる。天井や床に新たに配管スペースを作ることもできるが、高さがネックになることも多い。直床や直天井よりは、現在主流となっている二重床や二重天井の方が位置移動は容易になる(下図参照)。 

 設備を最新のものに替えるニーズも高いが、例えば、給湯器などを省エネモデルに変更する場合、壁に穴を開けて排水管を通す必要が生じるなど、工夫が必要になることもあるという。設備を選ぶときも注意が必要だ。

「温熱環境面では、外壁面の断熱の有無とサッシをチェックしてください。外壁面の断熱が施工されていれば、さらなる高断熱を目指すのでない限り、コンクリート面での断熱改修の必要性は低くなります。

 窓は共用部分で変えられないので、インナーサッシを設置できる奥行きがあるかどうかを確認します。また、最上階の住戸で天井を現(あらわ)しにしたい場合は、屋上外断熱の物件でないと難しいので注意してください」

 管理規約の確認も忘れてはいけない。フローリング施工の可否や、工事に関して近隣の事前同意の必要性などが決められている場合もある。過去に工事の音でトラブルがなかったかどうかを確認することも「リアルに大事」だという。

 それにしても、以上のようなことを素人がチェックするのは難しい。リノベーションが前提なら、内覧時に建築のプロに同行してもらい、何ができて何ができないかを判断してもらった方が、後がスムーズなのは間違いない。


※ 現(あらわ)しとは、木造建築で、天井を張らずに梁を見せるなど、柱や梁などの構造材が見える状態で仕上げる手法。