[東京 23日 ロイター] - 日銀は23日、金融システムの現状と展望をまとめた「金融システムリポート」を公表した。地域の人口や企業数が減少する中で都市部を中心に地域金融機関間の競争が激化している実態や、それが貸出など本業の収益に与える影響を分析した。

過度な競争が続けば金融機関経営が不安定化し、金融システムにも影響を与える可能性があるとしている。

リポートでは、日本の人口や企業数が減少を続ける中、日本の金融機関の従業員や店舗の数は「需要対比で過剰(オーバーキャパシティ)となっている可能性がある」とした。

具体的には、過去10年間で企業数は1─2割減少しているが、金融機関の店舗数は横ばいで推移。首都圏や県庁所在地などでは店舗数が増加している地域もあり、需要密度の高い都市圏での出店は「個々の金融機関にとって合理的な戦略」ではあるものの、「多くの金融機関が同じ戦略をとれば、都市圏でも店舗が過剰になり得る」としている。

企業の取引金融機関数は平均で2─3先だが、金融機関の店舗が集積している都市圏では「5先以上の企業も増えてきている」という。

こうした各金融機関の店舗の過剰度合いや、顧客企業の取引金融機関数をもとにした分析では、店舗の過剰感がみられる地域や企業の取引金融機関数が多いほど、貸出金利の設定など「金融仲介における価格決定力が低下する傾向がある」ことが判明。

金融機関間の競争が過度に厳しい状況が続いた場合は「金融機関経営が不安定化するリスクがある」と警鐘を鳴らしている。

さらに、人口や企業数の減少という課題は全国共通であるとともに、地域金融機関は預貸という伝統的な業務に収益源が偏っているところが多く、競争激化が続く場合は「中長期的には多くの金融機関の損失吸収力が同時に損なわれるというかたちで、システミックリスクが形成されかねない」と懸念。

金融システムの効率性と安定性の維持には、「適正な競争環境のもとで、金融機関が収益性を改善させていくことが重要」とし、収益源の多様化や、効率的な店舗配置とサービスの見直し、労働生産性の向上などのほか、「金融機関間の合併・統合や連携も、収益性改善の選択肢の一つ」と指摘している。

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(伊藤純夫)